ごろりとベッドへと横たわりながら、俺は何をするでもなく天井を見上げていた。その横で彼は耳にイヤホンをはめ、雑誌をペラペラとめくっている。別にそれを寂しいとは思わない。それが、俺が寝てしまい暇になったからこその行動だと分かっているから。そして目覚めた時に独りきりなのが苦手な俺の為に、彼はすることも無いのにここで待ってくれているのだと知っているから。感じるのは彼の優しさと、どうしようもない愛おしさだけだった。

(俺のことなんか放って置けば良いのにな)

一番そうされたくないのは自分のくせに、俺はぼんやりとそんなことを考えた。彼は優しい。その優しさに、時々泣きたくなるぐらいだ。だから俺はそんな思いが伝われば良いのに。そうしたら彼だってこんな無償の優しさを俺に注ぎはしないかもしれない。なんて馬鹿なことを思い、そのまま彼に向かってごろんと体を転がす。すると彼はすぐに雑誌を閉じて俺を向いた。やっと起きたの、なんて優しく笑うから、ずっと前から起きていたことを俺は素直に告げる。すると知っていたと彼はまた笑った。そして何気なくイヤホンを片方外し俺の耳にはめる。そうすれば、溢れるメロディー。しかし広がるのはどうしようもない思いだけだった。

「良い曲でしょ?」

マグルの間で、なんて続ける彼の言葉は何一つ俺の頭には形を残さなかった。聞こえなかった訳ではない。けれども聞くことが出来なかったのだ。彼と二人共有する世界の中で感じる優しさに潰されて、俺は無性に泣きたくなっていた。





世界をも半分に分かち合うようにして










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