「君はさぁ、量は多ければ多いほど良いと思っている節があるよね」

目の前にこんもりと積み上げられた山を見て、僕は小さな溜め息を吐いた。何かに嫌気がさしたとか、そういうわけじゃあない。むしろ今僕は幸せの絶頂だった。しかし溜め息の一つ吐きたくなるほどに、彼の行動に呆れていたのも事実だったのだ。甘い物は好き、だけれども、それにしたって限度はある。流石の僕でもそう思ってしまうほどに、彼が用意したものは大量だったのだ。

「なんだよ、リーマス、甘いもの好きだろ。嬉しく無いのか?」
「それに関してはめちゃくちゃ嬉しいよ」

でもほら常識的に考えてね、そう続けようとした言葉はごくりと飲み込んだ。このお坊っちゃまに常識を求めるのが間違いなのだ。だからまた小さく溜め息を吐いてからは、すぐに目の前の山を崩しにかかることにした。すると口に広がるは甘い、甘い。思わず顔が綻んで、そんな僕を見て彼も幸せそうに笑った。反則だよそう言うの。そう思いながら僕も笑って、そっと彼と唇を重ねた。それだけでも僕にとっては十分過ぎるプレゼントなんだよ。なんて言葉は伝えないけれど、伝えなくたって僕だけが知ってれば良い話だ。

「リーマス、超甘い」
「うん、幸せじゃない」

唇と唇が離れて、彼が甘さに眉をひそめて言うから僕は笑った。僕が笑えば、彼も笑った。そうして、どうしようもなく幸福だけが溢れた空間で、僕は感謝を述べるのだ。君のいるこの世界に生まれることが出来たと言う事実へ。


「おめでとう、リーマス」







幸せなのは君がいる世界












100310





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