「なぁ、ジョージ。」
「なんだい、フレッド」
「この世界に絶対など無いと言うじゃないか。」
「まぁ、そうだね。」
「でも、それこそが絶対だと思わないか?」
「それこそが絶対?」
「絶対など絶対無いと言うことが絶対。」
「なるほど一理ある。」
「だろう?」
「けれど違うな。」
「そうだ相棒よく気付いた。」
「絶対など絶対無いと言うことが絶対と言えばそこに絶対は存在してしまう。」
「けれどもそうすれば、その絶対は成立しない。」
「なんだかややこしいけれど、」
「所詮世界なんてそんなものと言うわけだ。」
「物は言い方ってやつね。矛盾やらなんやら、不鮮明なもので溢れている。」
「そうだ。そしてここで俺は提案する。」
「へぇ、どんな?」
「こんなにも理解出来ぬもので溢れた世界だ。そんな中で何が正しいかなんて?」
「分からないね。正も悪も何もかもが言い方次第だ。」
「そうだ。そんな世界なんだ。そしてそんな世界で生きる俺たちだ。多少の間違いを犯そうともそれを間違いだなんて呼べる奴は居ないと思わないか?」
「確かに、ね。…それで?」
「それで?」
「好い加減、回り道は止めない?」
「……それも、そうだ。」



せわしなく動かしていたせいで一瞬前までは乾き切っていた口内も、今はどちらのものともとれない唾液が混じり合う。こんな些細なことから今俺たちは確かにここに生きているのだなんてどうでもいいことを考えてしまうのだから、案外余裕はあるのかもしれないなんて思った。でもそれすらも一瞬だ。結局俺の中には彼しか居なくて、きっと彼の中にも俺しか居ない。そこには一片の余裕なども存在しないのだ。でも伝えたいことは単純明快。どんなに回り道をしようとも、行き着く先は一つだ。


(つまりは、)
(これからもよろしくってこと。)







二人で歩く世界の話











091013





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