時々全部剥ぎ取ってしまいたいと思う。余計な物を全部全部。けれどもそうしたら、一体ここには何が残るのか。余計な物ばかりで埋め尽くされた世界の中で、最後の時にまで必要と思える物とは何なのか。なんて考えてしまうそれすらも余計な物である。結局こんな問いに答えなどは出せないのだから。正解など、ありもしないのだから。

(でもね、)
(君を手放したいとは思えない。)

それはただ一つ明確な答えだった。他の何と比べても、彼というたった一人の存在だけは余計などどは微塵も感じられない。それは正しいことなのか、間違っていることなのか。単なる二択を迫られてしまえば自信を持って正しいと言うことは出来ないだろう。何故かは単純に、そこにあるのが背徳的な感情だからである。けれどもそれでも僕はこれだけは手放すことは出来ないのだ。そんなことは望んでもいないし、生涯望むべき時は来ないのだから。

(いつか、未来。全てを捨てたくなろうとも、全てを失うことになろうとも。君だけは絶対手放したりしない。)

なんて愛だと言えば美しいともとれる身勝手な独占欲を、僕は今日も静かに己の内に留めておくのだ。全部剥ぎ取ってしまうその覚悟が出来るまで、そっと隠しておくべき感情だから。





いつか、未来
(君にこの愛を伝える時は来るのだろうか。)










091002





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