不意に視線が交わった。いや、不意に、なんて言ってみたけれどもこれはきっと必然だ。同じものを追っていれば視線なんて自然と交わるものだろう。そして私はその交わった視線を合わせる。彼も同じようにして、私たちはお互いに笑った。

「また、やってるの?」
「まあな。」

私の問いかけに、彼は楽しげな表情はそのままに答える。私と話してはいるものの、今すぐにあの人のもとに向かいたいに違いない。そんな彼をこの場に拘束しているのも忍びないと思い、私は止めていた足を再び動かした。

「ほどほどにしなさいよね。」
「おう、言っとく。」
「あなたもよ。」

私の言葉に彼は笑みだけを返して濁す。ほどほどに、なんてしないのだろうけれど。あんなに楽しげに走り出した彼を呼び止めるなんて出来るわけがない。結局私も甘いのかしら。なんて思うけれども止めるべきところでは止めているつもりだからたまには良いか、なんて。


「ねぇ、あの人とどういう関係?」

色々と考えてぼうっとしていると、いつの間に隣にいたのか。レイブンクローの女の子に声をかけられた。名前も知らない人に何故いきなり声をかけられたのか。不思議に思ったけれど、彼女の口からシリウスという名が出たことで簡単に理解出来た。たぶん彼女はシリウスのミーハーなファンの一人なのだろう。そして彼と話している自分を見つけ、関係なんて聞いてきたのだ。

(シリウスとの関係、ねぇ。)

与えられた問いに私は答えを探す。しかしこれがなかなかに難しい。彼女が危惧しているような恋人なんて甘い関係は有り得ないけれど、友達なんて言って笑い合える関係でもない。しかし、三角関係とは違う。それでは私たちを呼ぶにはあまりにも不適切だ。ならば何が良いのか。必死に考えを巡らせて、私はやっと一つの答えに辿り着く。たぶん、これだ。他の誰かが聞けば理解出来ないと首を傾げるだろうけれどそれで良いのだ。誰にも知られてはいけない秘密の関係。


「共犯者、かな。」






平行線の交点











090930





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