光が無ければ影が無いように、そこに終わりは無かったのかもしれない。だってそこには始まりが無かったのだから。考えるまでもなく、終わるわけが無いのだ。始まらなければ終わらない。それは普遍であり、世界の理であった。けれども終わりなんてひどく曖昧でもあるものだ。曖昧、だから、そこが終わりだと自分が決めればそれは終わりと呼ぶに相応しいのだろう。無いならば作れば良いのだから。

(それじゃあ、そうだね。)
(今ここで終わりにしようか。)

僕は片手に持っていた花に、そっと杖を向けた。そして小さく魔法を口にして白い花弁を赤く燃やす。そのとき二人の姿が見えたが、何かをしようなどという気は微塵も浮かぶことはなかった。だって、やっと覚悟を決めたのだから。なんて言ってみるけれども初めから決めていたことなのだ。二人の関係を知った上で抱いてしまった思いだからこそ、この花を選んだのだから。さらさらと始まらなかった恋はいとも簡単に終わっていったのだった。





イキシア










090927





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