まるでペットのようだね、なんて言われた。ペット、と言うのは勿論俺を指した言葉ではない。俺にべったりとくっついた彼のことだった。今だってそれは例外でなく、ぱたぱたと俺に寄ってきてはしっかりと後ろにつく。そんな姿は確かにペットだな、なんて思って俺は笑った。そんな俺に彼はくしゃくしゃの笑みをもって返すのだ。鼠だから。と言うわけではないけれども、小動物のような愛らしさがあった。

「なんか、可愛いよな。」

俺がそう思ったままに告げれば、彼はむすっとした様子でそんなことはないと否定した。そんな様子が面白くて、俺は何度もくり返す。彼もそんな言葉の投げ合いを続けていたのだか、不意に止めた。丁度俺が自分のベッドへと腰をかけたところだったと思う。不思議に思った俺は座ったまま見上げる形で彼を向く。そのとき、直感した。目の前に立つ彼は愛らしい小動物などではない。

(そうだ、これは、)
(捕食者の目だ。)

しかし気付くのがあまりに遅すぎたのだ。瞬間とんっとベッドへと押し倒されて、彼は俺に覆い被さるようにする。そんな時自然に起きたにはあまりにも不自然過ぎる音がして彼はそちらへ一瞬にこり。しかし直ぐに俺に視線を戻して笑った。

「シリウスの方が、可愛いよ。」

なんて普段の彼からは到底想像出来ないような似合わない台詞を言ってのけ、彼はちゅっとリップ音をたてて俺の唇に自分のものをあてたのだ。まさかの出来事に考えるより先に体が動いた俺は思いっ切り彼を押し退けようとした。しかし手は何も無い空を切っただけで、彼は小さな姿でどこかへ消えた。まさか、まさかの出来事であった。理解に時間がかかった。けれど理解してしまってからはどんどんと顔に集まる熱。それを俺は一人ではどうすることも出来なかったのだった。





逆転立場










090906





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -