「一方を選んだらもう一方は選んじゃ駄目だなんて、誰が決めたのかしら。」

長い髪を優しく揺らして彼女は言った。視線の先には予想通りとでも言うべきか、無邪気に笑い次の悪戯を考える二人の姿がある。僕はちらりと二人を見て、視線を彼女に戻した。

「二者択一、なんて誰が決めたの?」
「無から有は生み出せないように、何かを得るにはそれなりの対価が必要と言うことなんじゃない?」

僕の答えに彼女は小さく声を漏らして、優しく微笑んだ。それは僕にと言うよりも彼へと向けられたもので、僕も横目で彼らをとらえた。

「なら、心配ないわ。全ての初めは無だったのだから。」

彼女の言葉に視線を戻すと、笑っていた。彼女の中では解決をしたらしい。そんな彼女を単純にすごいと思い、僕なら二者択一じゃないとすれば反対を選ぶのだろうかと思った。反対、と言うのは彼女が思う彼の反対で、全部を選ばない道である。
(それとも、何一つ選ぶことなく現状維持かな。)
なんて言葉には出さないけど呟いて、彼女に笑みを返せば不意に手中へとキャンディやらチョコレートやらの色とりどりの包みを沢山落とされた。

「これも、あれもすきでしょう?私はあなたはもっと欲深くなるべきだと思うのよ。」

こういうときだけはあの人のことを見習っても良いかもね、なんて悪戯っぽく笑って彼女は言った。ああ、惹かれる理由が分かる気もするなんて少しばかり思って、チョコレートの甘さに笑った。もしかしたらこのチョコレートのように、世界も少しぐらいは僕たちに甘いものなのかもしれない。





選択肢は二つじゃない










090818





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