2011/09/22 19:41

届かない。きっとどんなに俺が手を伸ばしたって、この人には届かないのだろう。時々それをどうしようもないほどに感じる。痛いぐらいに、痛感する。開いた距離はそのままその距離。これが俺とあの人なのだろう。そうやって、思うのに。「日吉」呼ばれた名前に顔を上げれば差し出された手。ああ、距離は(跡日)

そうっと、眠る彼の髪に手を伸ばす。上下に数回撫でるように動かせば、漏れるような声とともに彼の頭は上がった。気付かれないように慎重に触れていたつもりだったのに起こしてしまうとは。ごめん、と口を動かせばへにゃんと彼の顔は笑みを作る。「なんで謝るん?起きたら白石とか幸せっちゅー話や。」(蔵謙)

「仁王」彼の口が俺の名前に動く。声は届かない距離。でも彼の言葉はいつだって俺に届いた。愛とか絆とか、そんな綺麗なものでは無いと思う、けれど。無視することが出来ないのは彼が彼だから。幸村だから、なんじゃろうな。なんて。「幸村」そうやって口を動かせば彼は笑うから。きっとこれはそう、え(幸仁)

背後から軽快な足音が聞こえたかと思えば同時に楽しげな声が耳に届く。「柳さんみーっけ!」まるでかくれんぼでもしてたいたかのような物言いに探していたのかと問えば、彼はぶんぶんと首を振った。「別に柳さんが居たから来ただっけっす!」そうしてにこりと笑うから。思わずこちらもにこり、なんて。(赤柳)

失うことへの恐怖は未だに拭えなかった。それはきっと君への思いが今も色褪せることを知らないから。あれ以上はきっとなくて、きみ以上にはきっと出会えなくて。そう言ったら君は困ったみたいに笑うかも、知れないけれど。ずっとずっと白は白のまま。俺は俺の中の君を失わない為の道を今も歩いている。(仏ジャン)





「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -