「……きっつ…」
ユウジが告白されているところに出くわしてしまったワタシ
ダメなのは解っているけど好きな人が告白されているのが気にならないわけない
浅田さんが「出雲さんでしょ?」と言うのが聞こえて、すごく驚いた
ユウジの焦ってる様子をみて少し期待もしてしまった
ドキドキしながら聞くことにした
椿は幼なじみっちゅーか、あいつのこと好きになるならとっくに好きになってるっちゅーか…
今の私にはぐさりと刺さるような言葉だった
たしかにそれを聞いて、納得してしまう所が悔しかった
私の目には涙が込み上げてきた
石で頭を殴られたような感覚にもなった
#3 屋上
ユウジと浅田さんはまだ何か話していたが私は耐えられなくなりすぐにその場を離れた
そのあとの会話は知らない
「いいや…屋上いこ」
次は国語の授業
いま読んでいるのが恋愛ものの物語
気分的に乗らないのもありサボることにした
あ、カバン教室に置いたままだ…
良いやと思い、携帯ひとつで屋上にいく
遠くでチャイムが鳴っていた
もう授業始まったのだろう
誰も居ない屋上のフェンス越しに校庭を見る
ちょうどユウジのクラスが校庭でサッカーをやっている
あ、ユウジにボールがいった
シュート入れた
嬉しそうなその笑顔、私大好きだよ
ユウジにとって私はただの幼馴染みっていうことは分かってたけど、今さら本人の口から出た言葉はさすがに刺さるなぁ…
「はぁ…これからどうしよう…」
「まずは俺の説教聞いてから考えればええんちゃう?」
「げ…」
独り言が会話になったと思えば後ろには包帯を少し外しはじめ、いつも以上に笑顔だが明らかに怒りマークが見える白石がいた
「やーっと見つけたで?昼の当番サボったあげく授業もサボるなんて悪い子や。何回電話したと思ってるんや?」
携帯を開くと気付かない内に着信履歴がまた増えていた
履歴のどのページをみても白石蔵ノ介だらけ
あとで履歴全部消去しよ…
「てか白石授業は?」
「出雲さんが体調悪くて保健室にいるので様子見てきますって言うて抜けてきたんや。昼の説教あるしな」
「…昼はごめん、次はちゃんと行きます」
携帯が白石の名前で埋まるのは嫌だ…
「そうやって素直に謝ればええねん、まあ次はちゃんと俺が連れてったるから逃げられへんけど」
「もう、分かったって」
「で、何があったんや?」
「え?」
「椿が来ないなとこで授業サボるとはなんかあったんやろ。未来の旦那に話してみ」
「白石が未来の旦那なんてこの世の終わりや」
「まあまあ、話してみ?どうせユウジ柄みだろうけど」
「うっさいわ、白石に話すことなんてあらへん」
「昼休み委員会サボられた俺としては聞く権利あると思わへん?」
「う…」
私は白石にさっきのことを話した
無意識にもさっきは出なかった涙が出た
馬鹿にされると思ったが真剣に話を聞いてくれたのが嬉しかった
少しスッキリした
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