「だいぶ落ち着いたわ、白石おおきに」
「それは良かったわ。これからどうすん?」
「授業のこと?ユウジのこと?」
「んー、ユウジ」
「どないしようね、やっぱり諦めるしかあらへんのかな…」


♪〜


変な着メロが流れた
自分と白石しか居ないのだからどちらの携帯から出た音なのかはすぐわかった
だって、私はマナーモードにしてるから鳴るわけない

「なん?その変な着メロ?」
「変とか言うな!メールや…」


画面を見るなり少し微笑む白石
ちょっと怪しい…


「携帯見て二ヤけるとか、エロ画像でも見てんの?」
「そうやでーってんなわけあるか!!!」
「そのツッコミの仕方、どっかの自称スピードスターみたいや」
「それ最悪やな…、椿」
「ん?なんやねん、改まって」
「俺な椿のこと好きやったで」
「え、ちょっ…はっ?」
「だから椿には幸せになってもらいたいんや。泣き顔より笑顔のが椿には似合ってる。やから、ユウジのこと諦めるとか言わずにちょっと待ってみ?」
「え…でも…」
「ええから、俺のこと信じて、な?」
「お、おん。」
「よし、じゃあ俺、行くから。椿はちょっとここに居うてや」



ひらひらーっと手を振って居なくなる白石
最後に「勘違いすんな、好きいうても友達としてやからなー」って叫んでいた気がする
突然の出来事に何が起きているのか思考回路がおいつかない

ユウジのこと諦めるなって言われても、望みがないもん
どうしたら良いのだろうと校庭を眺めていたら扉が勢いよく開いた


白石が戻ってきたのかと、それとも授業をサボりに千歳が来たのかと思ったら
肩で息をしていたユウジだった




#5 やっと届いた




「え?ユウジ…?授業中にどないしたん?」
「椿、お前、昼休みどこにおった?」
「え、あ…四天宝寺池のそば…」
「俺が告白されとったの知ってるやろ?」
「う…うん、ごめんな…立ち聞きするつもりはなかったんやけど。たまたま通り掛ったらユウジが居てな、つい気になって…」
「どこまで聞いとったん?」
「え…どこまでって…ユウジがあたしの話していた所までや…」
「だからどこまでや?」


やばい、思いだすと涙が出てくる
必死で涙が出ないように目がしらに力を入れる
きっとここではっきり告げられるのだろう
そのとおりや…って…


「ユウジがな…私のこと好きになってるならとっくになってるわって所までや…
ごめんな、今まで迷惑やったろ…?」
「椿のアホ!!!!」

「ちょっ…なんで急にアホ呼ばわりされなあかんのよ!?」
「アホアホアホアホ、何勝手にしょぼくれとんのや。お前は昔から最後まで話を聞かへん」
「は?」

「盗み聞きするなら最後まで聞いとけ、このアホ」
「なんやねん、さっきから」

「俺は椿のことが好きや、そう言ったんや」
「えっ?あ…え…は?」
「そのアホ面どうにかならん?」
「うっさいわ!!」
「で、お前は?俺のことまだ好きか?」

「まだもなにも…」
「ん?」
「好き…です」

「そかそか、じゃあこれで幼馴染は卒業やな」


突然の展開に先ほど同様思考回路がついてこれなかった
なに、今
ユウジが突然来て、告白どこまで聞いてたか聞かれて
ユウジに好きと言われ、私も好きだと言い、幼馴染卒業…


「え、ユウジ!?私のこと好きやったん?!」
「なんや今更、気付いておらんかったん?」
「いや、だってユウジには小春ちゃんが…」
「あんな、小春は恋人ちゃう、相方や、親友やで。恋人はお前」
「え…いや、だって…」
「だってもなんもあらへん。俺は知ってたで?お前が俺のこと大好きなん」
「なんでやねん!!!!」
「んな、アホ見たいな単純な思考回路なんやからなぁ」
「なんやと!?」
「あぁ、もうやかましい!!!」
「へ?」


突然何か柔らかいものが口をふさいだ
気付くとユウジがものすっごく近くにいて、唇が重なっていた



あぁ、私の気持ち、ユウジに届いていたんだ…



fin/



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