没。
主が変な行動しててそれをみた鳴狐が主に迫る


「…びっくりしました…俺たちを置いて、どこかへ行かれたのかと…」

狐がそうもうしております、と言って鳴狐も不安そうにこちらをみていた。

「そんなの、ありえませんよ。…ですが、あなたたちは私のことが嫌いなのかもしれませんが…」
「それはありえません!と申しております!」

間髪入れず言ってくれた狐に、わたしは嬉しくなった。

「そうですか…こんな頼りない主で申し訳ありません…」

鳴狐はわたしの手をそっと握った。

「…俺は、一生主のそばにいます」

それは、狐ではなく、鳴狐本人が言った言葉だ。

「…本当ですか?…とても、とてもうれしいです…」
「誓います、と申しております!」
「…えへ、おおげさですよぉ…」

泣きそうな顔をして、笑顔を作るわたしに、鳴狐は、わたしの手を握る手を強めた。

「抱きしめてもいいですか?と申しております!」

びくっと肩を震わしたわたし。手をそっと抜きとり、ばっと目の前にさしだした。

「さ!ばっちこい!」

にひひと笑うと、ふわっと抱きしめてきた。瞬間匂う、鳴狐の匂い。目の前には狐がいて、にこっと笑ったら笑返された。
わたしも負けじと抱きしめると、鳴狐はびっくりしたと体を震わせ、抱きしめる力を一層強めた。

「好き!だいすき!」

鳴狐本人の声だった。
私はあっけにとられ、え。と。

「主がだいすき!」

きゅううと心がなってる気がする。

「わたしも…好きです。鳴狐…」

告白した気分になった。
なんとゆーか、まだ年の小さい従兄弟に好きだと言われた気分だ。

「ん〜…」

嬉しそうにぐりぐりと肩をせめてきた。
そして私を離し、狐は飛び降りた。
そして真横にある部屋にわたしを入れた。

「ずうっとこうしていたかった…」
「…今日は甘えん坊ですね、鳴狐」
「好きです…大好きです…お慕いもうしあげます…」
「そうですか…ふふ」








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