帰り。てっちゃんと研磨を待つために体育館の外で座って待っていたら、また誰かに声をかけられた。バレー部って、こんなに女子に声かけるんだあ…なんて思いながら振り返ると、ヤンキーが立っていた。

「あのっそ、その」
「(えっちょっえっなんかモヒカンヤンキーがっ)あわわわごめんなさい!」
「え、いや、だから」
「すいませんっ!」

わかんないけど謝っとこう。どうしよう、顔見れない。ちょっと怖かった。何?私に何を言おうとしてるのかわからないけど怖い!私は座っていたのを急いで立ってペコペコと謝った。

「何してんの真紘」
「け、研磨ぁ…」

私は涙目になりながら研磨の元へ走る。ふう、とりあえず距離はとったから大丈夫だぞ。だけど研磨はモヒカンヤンキーのほうに言って、話しかけた。もじもじしながらモヒカンヤンキーがぼそぼそと話しているから、何なんだ?とまた疑問が生まれた。

「成る程ね。真紘にそこに座ってたら寒いから移動したら?って言いたかったらしいよ」
「えっそうなんですか…わああごめんなさい、話ちゃんと聞いてなくて…!」
「あっいやっその」

またもじもじしてる。一体何なんだ?もうちょっと話して見たら分かるかな、と歩み寄ろうとしたら、頭を掴まれて、ぐいっと後ろに引っ張られた。

「帰るぞ、真紘」
「あってっちゃん!」

ガバッと抱きついたら、頭をぽんぽんと撫でられた。えへへ、…あ!ダメだ!押してだめなら引いてみろ作戦決行中だった!私はばっと離れた。もうちょっとてっちゃんの匂い嗅いでたかったけどね!口を開けて涙目になっているヤンキーなんてもう怖くないぜ!研磨に「かえろ!」と腕を引っ張った。ふん、てっちゃんどうくるんだ!?と後ろを向いたけど無表情。…あれ。

「ちょっと真紘、急に引っ張らないでよ」
「引っ張りたくなったの!」
「はあ?意味わかんないけど」
「とにかく帰ろ!あ、さよなら!」

一応声はかけといたほうがいい気がする。モヒカンヤンキーにぺこっと頭を下げて、研磨の腕を引っ張って歩き始めた。てっちゃんまだかなってチラチラと後ろを見るけど、何も言ってこない。もう!なんかリアクションしてよう!

「そういえば、今日練習見たけどさ、研磨すごいかっこよかったよ!」
「そう?ありがとう」
「どういたしまして!」

本当はてっちゃんが一番かっこよかったけどね!言ってあげない。ブスなんていったんだもん。私の心はガラスのハートなんだから。校門まで出て、研磨の腕をもっていた手を離す。チラりとてっちゃんをみるけど、ついてきてるにはついてきてるけど、何も言わない。むう、まだ何も言わないの?

「クロ、何で黙ってるの?」

お、研磨ナイス!そうだ、ヤキモチをやけ。俺にはないのかよってね!そしたら即答してあげる。かっこよかったよ、大好きって言ってあげるんだから。ムフフと笑いながらてっちゃんの言葉を待ったけど、出てきたのは。

「今日の晩飯のこと考えてた」

ええっ!晩飯!?夕ご飯!?それよりもっと考えることあるんじゃないの!?例えば今日の私の髪型ちょっと違うなあ。とかブスなんて思ってないよほんとうは可愛くて仕方ないって考えてたとかさあ。もう。

「好きなものが出るといいね」
「おう。サンマくいてー」
「今季節じゃないけど」

何で会話続けちゃうの研磨も!もっと触れてよ私のことも!

「そいや今日俺寝違えたのかしんねーけど首痛ぇんだよな」
「クロの寝方変だよね」
「あー、湿布貼っときゃよかったぜ」
「もー!私一人にしないでよ!」

いつの間にかてっちゃんの横に行っていた研磨を見て、そそくさとてっちゃんの横をキープして手に腕を巻きつける。ギュッと握りながら「ばか!」って言うと、てっちゃんはニヤニヤと笑った。私は負けた気がして、プクーと口を膨らませた。てっちゃんはあたしの頭を撫でて、

「お前は可愛いなー」
「…えっ」

優しく笑いながら言うから、私はぷいっとそっぽを向いて「今日の晩御飯カレーだし!」なんてよく分からない返しをした。もうその話題は終わったんだけど、って研磨がつっこみを入れててっちゃんが笑う。…私は少しだけ、頬が熱かった。全く、てっちゃんが大好きなんだから。こんなことで機嫌が直ってしまう自分は凄くバカだなとおもう。



20150823


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