「やっくんみっけ!」
「…名前、その呼び方やめろ」
「ええっどうして!?」

夜久衛輔とは幼馴染で、いろんなあだ名をつけていたので今では呼び名がたくさんある。

「じゃあモリリン!?」
「…やっくんのがマシ」
「じゃあモリリンで〜」
「いい加減にしろ」
「ごめんなさい」

えへっと舌を出すと「きもい」と罵倒された。辛い、やっくんたらこんなに罵倒する男の子じゃなかった…。少なくとも小学校卒業するまでは…!何か中学になって身長追い越されたし、私とも話してくれなかった。辛い。だからこうして高校で話せれて私は嬉しいんだけどなあ。

「ねー、衛輔」
「っ、なんだよ」
「次の試合いつあるの?見に行きたいなー」
「はあ?見に来なくていいから」
「なんでよ!衛輔のかっこいいところみてみた〜い」
「きもい」
「今のは別によくない!?」

ちょっと、と肩を叩くと触れるなって睨まれた。ちょっと、ちょっと何か寂しいじゃん!昔は手を繋いだりして学校帰ったりしてたのにさあ、触れるなですって!お母さん怒っちゃうんだから!

「ふんだ、じゃあ黒尾君にきくから!」
「…お前黒尾と仲いいの?」
「ふふん、同じクラスでマブダチ」

黒尾君に今日のパンツ何色?って聞かれても動じない女になったんだから!って自信満々にいうとセクハラじゃねーかって怒られた。いや知らんけど、怒るなら黒尾君に怒ってほしい。

「それで…言ってんのかよ、色」
「…セクハラ」
「はあ?心配してんだろ!」
「何それ!言う訳ないじゃん!」

だって衛輔が心配とか、随分前にされたっきりだよ!しかもはしゃぎすぎて「頭大丈夫か?」ってワリとガチめにされたっきりなんだから!むむむと口を尖らせるとはあとため息をつかれ。

「お前騒がしいし落ち着きないんだからよ、黒尾はやめとけ」
「…え?」
「お前には落ち着いた奴が似合う」
「ちょ、別に黒尾君好きじゃないし!てか落ち着いた奴って誰よ!」
「……」
「あ、分かりましたー。隣のクラスの斉藤君ですね?」
「はあ!?誰だよ!」
「ええ!違うの!?あの斉藤君だよ!?」
「知らねーしそいつは駄目だ!」
「じゃあ誰がいいのさー!」

そういうと衛輔は黙って。いやいや考えてないのに言わないでよってつっこむと、「そういうわけじゃない」って言われて。じゃあ言いたくないとか?いやいやなんで言いたくないし。別に本気でその人と付き合うとか言ってるわけじゃないのに。衛輔をチラりと見ると、難しい顔をしていた。

「衛輔は落ち着けるし騒ぐこともできるし何だろう、どっちつかずだね!」
「どっちつかずって…」
「……無しかな〜」
「は!?」

うわ、何かまた怒ってきた。え、何で怒るの?逆に喜ばれると思ってたのに。あ、あれか、仮にも幼馴染なのに恋愛対象入ってないってどういうことなんだあって?…逆に入らないとかある気がする。よくわかんない。まあぶっちゃけると無しじゃない。無しなわけない。でもこんなこと言えるはずないし…あ!

「わかった!30になっても貰い手いなかったら衛輔にもらってもらう!」
「…それまで俺は結婚すんなって?」
「衛輔と結婚してくれる人なんているの?うぷぷ」
「ふざけんなよ」
「イタイごめんなさいイタイ」

頭を凄い勢いで掴まれた。すっごく痛い。ちょ、ミシミシ言ってる!やめて〜って叫ぶと漸くやめてくれた。

「………ま、俺は昔から名前と結婚するって決めてるけど」
「え」
「小さい頃約束したじゃねーか」
「いやいやあれは私が強引に…」

ちょ、ちょっとまって何だか顔が熱くなってきた。だって、だって衛輔が急にそんなこと…!え、ちょ、どうしよう頭がパンクしてきた。つまり、つまり衛輔は…?衛輔は顔が赤くて、何だか恥ずかしくなって私は俯いた。

「…まあ、別にお前が嫌ならしねーけど」
「ええっす、するよ!」
「…え」

あ、やばい。つい口が滑って言ってしまった。衛輔の顔がもっと赤くなってしまう。いや私のほうか、赤くなるのは!自分でも何を言ってるのか分からない。だって今まで、今まで衛輔避けてたじゃん私のこと。高校入って、3年になってやっと話しかけてくれたじゃん。すっごい嬉しかったけどさ、こんな爆弾持ってると思わないじゃん。とりあえず、とりあえず私が言いたいことは。

「私、実はずっと衛輔君のこと好きでした…!」

てへ、何て笑うと顔を真っ赤にした衛輔は「バカ」と言って頭を軽くこづいた。


20151101
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