同じクラスの京谷君は、とにかく怖い。目つきも悪いし髪型もなんかヤンキーっぽくて怖いし強そうだし。とにかく団体行動が苦手そうなイメージだった。
まあクラスの中で小さく生活している私には縁のない人だから、関わることもないだろうと思っている。

「苗字さーん、これ持ってってくれない?」
「え?…あ、ああ。いいよ」

私は英語係で、英語のノートを提出する時毎回集めて私が持って行くんだ。それで今、この子は提出していなかったからと私にノートを渡してきた。…まあ、いいけど。
ごめんねー、と思ってもないことを言って顔の前で手を合わせた。いいけど、こんなの慣れっこだし。私は教室から出て職員室へと歩きだす。休憩時間とはいえ廊下がよく賑わっているなあ。人を避けながら歩いて行く。そんな時、私の前にガラの悪い人がたくさんいて、しかも横に並んでいるから進めそうにない。
もちろん、消極的な私は目の前の人たちにどいてくださいなんて言えるはずもなく。

「(違う道通ろ…)」
「どけよ」

ぎょっとして隣を見ると京谷君がいて。吃驚して「へっ」と変な声が出た。何だよ、とガラの悪い人達が京谷君のほうに立ちふさがる。だけど京谷君の睨みでガラの悪い人達は渋々どいてくれた。それを私はぽかんと口を開けてずーっと見ていて、あ、京谷君行っちゃう、と思ったら京谷君はこっちを向いて。

「行かねーのかよ」

私は一瞬なんのことか分からなくて。このノートのことだと分かって「いくっ、行きます!」と言って歩きだす。京谷君はそれを見るなり踵を返して帰っていって、私はというと全身が熱くなっていくのを感じた。

「(た、助けてくれた…?)」

これってもしやあれだろうか。
不良が捨てられた犬を見て俺と一緒だな…とか言ってキュンてするやつ。あれ、違うかな。いやでも今私ものすごく京谷君にキュンキュンしてる。だって、助けてくれると思わないじゃない。

「名前、何でそこに突っ立ってんの?」
「あ、職員室に行かなきゃ!」

友達に見つかり、私は颯爽と歩き始めた。


20151018
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