「今日は何時もより静かじゃない」
全然喋ろうとしないリエーフにどうしたの?と聞くと涙目になりながらリエーフはこっちを向いて。
「俺次の小テスト70点以上とらねーと補習なんだよ…!」
なんだ、そんなことか。あたしは椅子をリエーフのほうに寄せて、「教えるから勉強しよ」と言った。リエーフはぱああと顔を明るくさせて、いいのか?と聞いてきた。悪かったら教えたりしません。
「あんたも大概バレー馬鹿よね。そんな魅力あんの?」
「大ありだ!」
「へー、初知り」
あんま興味無いのに聞くんじゃなかったーと思いながら勉強を教え始める。なんだこいつ、とんでもなくバカじゃないか。教えた公式すぐに忘れてる。
「まずは公式覚えないと始まんないから」
「分かってるけどよー…」
「部活出たいでしょ」
「出たい!」
「じゃあがんばって」
とんとん、とシャーペンでノートを叩きまた勉強を始めた。
「おお!なんだこの点数は…」
見たことねえ!と歓喜の様子のリエーフにくすりと笑った。これで大丈夫だろうと踵を返したらぱしっと腕を掴まれて。
「お前のおかげだ!まじでサンキュー!」
「どういたしまして」
「お礼!……はい!」
差し出してきたのはイチゴのキャンディで。なんでこんなかわいいものリエーフが持ってるんだと不思議に思いながらもお礼を言いながら受け取った。
「また教えてくれよな!」
「考えとく」
「また飴やるよ!」
「別に飴につられて教えたわけじゃないし」
リエーフが何時もより静かで元気がなかったから教えただけなのに。リエーフはあたしの気持ちなんて分かってくれないんだ。
「ああそっか!優しいもんな!」
はあ?また見当違いなことを。あたしはぷいっとそっぽを向いた。あんたのことずっと好きなのにあんたが鈍すぎて伝わってないのよ。ばーか。「なに怒ってんだよ!」やっと本来の調子取り戻したか、やっぱりあんたはこうじゃないとおかしい。
だからとりあえず元気なかったらあたしがなんとかしてあげるから、何時の元気なあんたでいてよね。
あたしはポケットに入れたイチゴのキャンディをいつ食べようかとウキウキした。
20151005
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