色気、というものがあるんだよね、鉄朗って。
そんなことを呟いたらはあ?という顔をされたから、口を尖らせた。

「あたしがダイナマイトボディだったら鉄朗よりいい男引っ掛けてるかもね」
「おいおい、何言ってんだよ」
「ジョーダン」

へへっと笑って制服のリボンをきちんとつけた。鉄朗はそれをじーっと見てきたのでなに?と聞いたら。

「お前その格好似合わねーな」
「は?」
「リボンよりネクタイのが似合いそう」

意味がわからない。そんなこと言われてもネクタイに変えれるわけがないからため息をついた。

「あたしがネクタイのついた制服着てたら間違いなく鉄朗が襲ってくるでしょ」
「なんかそれそういうゲームみたいだな、着た瞬間襲われる」
「意味わかんない」

鉄朗はぐっと抱きしめて、あたしの頭に自分の頬をくっつけた。たまにするこれは、鉄朗はどういう思いでやっているのかあたしには分からない。

「お前は俺以外好きになっちゃだめだ」
「急になに?」
「お前がどんな体でもお前は俺のもんになる」
「…は、余裕かましてんじゃないわよ」

何が俺のもん、よ。
そんなこと言うんだったら、あんたが出してるその色気、どうにかしなさいよ。

「後輩から告白されて鼻の下伸ばしてた人はどこかなー」
「…おい」
「そんであたしよりそっちがいいとか言ってヤキモチやかせようとしたのは誰かなー」
「おいこら」
「本気で別れるところだったね」

はは、とついさっきのことを思い出す。全くこいつは、あたしがどんだけ本気か分かっていないんだから。がっしりと抱きしめて離さない鉄朗の手を握りしめた。あたしは、あんたを抱きしめない。いつだって抱きしめられる側。

「次あんなこと言ったら本気で別れる」
「…ゴメンナサイ」

素直に謝る鉄朗にふはっと笑って。

「ジョーダン。あんたのこと好きだから別れてやんない」

きゅっと抱きしめている腕を握った。まだ離さないから、あんたのこと。鉄朗は「上等」とつぶやいてあたしの髪にキスをした。


20151005
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