「黒尾、くん」
痛いよ、なんて呟いてみる。がり、と噛まれた首筋が痛い。なんで、なんでわたしのここを噛んだの?と聞いたら、「お前にムカついた」と素っ気なく返ってきた。なんだ、それ。
ふわりふわりと浮くような浮遊感。私はもうすぐ黒尾君に殺されるんじゃないかな。黒尾君に首筋を噛まれて死んで行くんじゃないかな。それもいいかな、それなら私、死んでもいいやって思うの。
「次はねーから」
不思議、黒尾くんの吐息が、体温が、全て私に。ねえ、熱いよ、そばにいたい。貴方にぴったりとくっついていたいの。瞳を見つめて、醜い私がにこりと笑って見える。
「…分かった…」
ぴとりと胸に抱きつくかのようにくっついて見せる。黒尾君大きいなあ、いつもは背伸びしないと届かないのに、座っているとこんなにも近いんだ。心臓の音が、聞こえる。ばく、ばくばく。あ、こんな感じなんだ、黒尾君の心臓の音…。
「愛してる、黒尾君」
貴方に束縛されたい。貴方にヤキモチ妬かれたい、貴方に殺されたい。今すぐ首を絞められてあなたの中で死んでいきたい、なんて。
「…なあ、名前」
黒尾君の顔が少し引きつってるように見える。なんで?
「愛してんなら、浮気すんなよ…」
辛そうに、わたしの首を握りしめて、私は不敵に笑う。
「うん、もうしないよ…」
もう一生逃げられない。
私はあなたの中に沈んでいく、いつまでも。

20150929
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