保健委員と言っても、いつも昼に新聞を書くか変わりにいるかぐらいで、放課後まで残れとか初めて言われた。
丁度通りかかったら保健室の先生に「ちょっと会議で抜けるから私の代わりしてて!」と鍵を強引に持たされ今に至る。
しかし暇だ。放課後に保健室に来る人なんて中々いないと思うんだけど。ていうか先生帰って来るの遅い。

「あー…ねよっかな」

この際ベッドで寝てようかな。保健室のベッドすっごいふかふかしてるし。そう考えたらなんだか眠くなってきた。あくびをしてゆっくりと立ち上がる。本当はいけないけど、別に誰も来ないから大丈夫だよね。

「おやすみなさ…」

寝ようとした瞬間、ガラっとドアが開いた。びくっとしてローファーを蹴ってしまった。慌てて片方のローファーを履いてもう一つのローファーを追いかけると、そこには国見君が立っていた。

「や、やあ国見君…」

てんってんっと飛び跳ねながらローファーを履く。国見君は真顔でそれを見ていて、「何してんの」といかにもな質問をぶつけた。

「ま、まあ色々あってね!それでどうしたの?」
「…保健室の先生は」
「今会議中で私が代理!」
「…テーピングできる?」

聞くとテーピング用のテープがきれたらしく、保健室に行こうということになったらしい。確かに国見君は練習用のジャージを着ていた。そういえば国見君バレー部だったな。私は「できるよ〜」と間延びした返事を返してテープを探した。国見君をイスに座らせて、待ってもらってる間にテープを探した。あ、あった!

「どこかな?」
「指」
「じゃ、指出して」

指を差し出され、私はテープを持ってするするとテーピングをする。国見君は「慣れてるね」と少し吃驚したようだった。へへ、と得意げに私は笑う。

「元バスケ部のマネージャーです」
「へえ」
「テーピング人にやるの得意なんだよ」

はい、できた!と国見君の手を離す。おお、と国見君は触ったりしていた。そんな国見君が少しだけ可愛いと思ってしまう。そういえば、国見君とこんなに話したの初めてだな。同じクラスなのに。

「…バレー部のマネージャーやる?」
「いや〜キツそうだし、それにマネージャー募集してなかったんじゃなかったっけ?」

友達がバレー部のマネージャーになりたいって言ってたな。たしか、おい、お…小川?って人がかっこいいからとかなんとか。私は興味なかったからあんまり聞いてなかったけど。

「俺が頼んだらしてくれるかも」
「あはは。そんなにテーピング上手かった?」
「かなり」
「それはどーも」

それにしても国見君の指って結構太いんだね。全体的にスラーってしてるからどうなのかと思ったけど、バレーしてるんだなっていう手で。何だか吃驚。本当のこというと国見君の指を触ってるとき、すこしドキドキしてたんだ。

「それじゃあ国見君がんばってらっしゃい!」
「…また来たら苗字さんはここにいるの?」
「私?もういないかなあ。今日はたまたまだし」
「…そう」

国見君はそれだけ聞いて立ち上がった。何だ何だ?そんなに気に入ったのかな。それだとしたら凄い嬉しい。さあてと、そろそろ先生帰ってくるかな。

「じゃ、また俺がテーピングしてほしいって言ったらしてね」
「テープさえあればね!」

ニコッと笑うと、国見君もふっと笑って、「じゃあね、苗字さん」とだけ言って出て行った。
さあてと、ベッドで寝ようかな。

20150923



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