「岩泉ー」
「んだよ」

イチゴジャムパンを頬張っている岩泉にあたしは話しかけた。

「早弁ですかー?美味しそう。ところで英語の教科書忘れたから貸して」
「はぁん?お前ぜってー持ってこねーよなぁ」
「うっさいなー。岩泉が貸してくれたあの時から英語は岩泉に借りるって決めてんの」
「なんかいい感じに収めてるけど持ってくんのめんどくせーだけだろ?」
「ばれた?」
「当たり前だ」

岩泉は最後に全部口の中に入れてもぐもぐしながら机の中を漁った。あ、でてきた。英語の教科書。

「ほらよ」
「ありがと。ねえ、名前のとこバレるからあたしの名前上から書いていい?」
「アホかぜってーすんなよ」
「はーい」

岩泉に凄まれたのでやめておこう。…てゆーか、あたし基本英語の時間寝てるんだけどね。ありがとーとお礼を言って教室を後にすると及川廊下で男子と仲良く喋っていた。嘘、及川にも友達いるんだ。いないのかと思ってたのに。吃驚しながらそこを通り抜けると、優しくあたしの名前を呼ぶ及川。

「…あれ、それ岩ちゃんの」
「そうだよ。あたしと岩泉の愛の教科書」
「きっめーな小林〜」
「ふん。悔しかったらあんたも岩泉から借りてきなさい。英語の教科書を貸すのはあたしにだけよ」
「はー?お前ら付き合ってんのー?」
「馬鹿ね。付き合うとかじゃないの。そう、例えるなら…」
「まりーチャイム鳴るー」
「あ、はーい」

パタパタと友達に駆け寄るあたし。話途中でおわっちゃったけど、いいよね。にしても愛の教科書なんて、自分で言って笑った。上手い。今度岩泉に言って見よ。なんて顔するかな。そう考えると自然に笑みがこぼれた。

「小林ってノリいいよなー」
「よな、おもしれーわ」
「ちょっと岩泉からかってみっか?」
「…」
「及川?」

無表情で、教室の中に入って行った。

20150821

及川岩泉いがい友達いないって聞きました。このお話の中ではいることにします(笑)

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