「また、フラれた…しかも、お前重いって…あたし、重いんだって…気持ち悪いって…」
そう、ウサギに話しかける。ウサギはあたしの指を柵越しにコリコリと噛む。あたしは涙を拭きながら、
「もうやだぁ、何よ勝手に性格とか決めつけて…」
ぶつぶつと文句を垂れるのであった。


あっとそこに天使がおりました


「小林さん、貴方また髪の毛を…」
「先生、何度も言ってるじゃん。これ癖毛でこーなるのっ」

めがねをかけたおばさん先生に、会うたびに言われるこのフレーズ。
『貴方、また髪の毛を』
だから、癖毛なんだって。

あたしの髪の毛は癖毛で、毛先がクルクルになる、所謂オシャレな癖毛だ。
でも、これで迷惑なことには変わりはない。
今だって先生にとやかく言われるし。
まあ、しょうがないよね。

…ちょっと巻いてきてるもん。

「まーた怒られてるね」
「…うわ、及川」
「うわって何〜?俺傷つくよ!」
「はいはい」

背の高いタラシボーイが目の前に。何でコイツは、あたしに構ってくるんだろう。
全然楽しくないと思うんだけど。

「まりちゃん、今日も可愛い〜」
「何急に言ってんの?キモすぎて吐くレベルだわ」
「ひどいー」

この及川とゆー奴は、口を開けば褒め言葉しかでてこない。あたしを殺す気か。しかも、あたしだけっていうならときめいたりするけど、他の女子にも言ってるし、どうしろってゆーの。言わせておけばいいの?

そりゃ、最初は言われて嬉しかったよ。結構舞い上がったし。でも、他の女子にも言ってたし、その甘いマスクに惚れる子は多いし、何だただのタラシかって、思ったんだ。

「及川さ〜ん、この人怖いです…」
「えー?全然怖くないよ〜?」
「…違う学年の子この階に呼ばないほうがいいよ。悪い意味で目立つから」
「いやー、俺モテちゃうからさ」

エヘヘと笑う及川に、後ろに隠れていた女子は少し赤面していた。別に怒ったつもりはなかったんだけど。ていうか怖いって…。まあ、言動で、怖いって思ったんだよね。しょうがないよね。

「ていうかあたしもう行くわ。邪魔しちゃってるっぽいし」
「えー?してないよー?」
「じゃーね。授業に遅れないように」
「はーい」

最後のは後ろの女子に言ったつもりだったんだけど。お前が返事すんなよ。
踵を返して歩きはじめた。後ろから女子が「風貌からしてヤンキーみたいです…」と言ってた。は?金髪ならまだしも、ちょっと明るめの茶色なだけでしょ?髪がくるくるなのは仕方ないでしょ?
言動だってちょっとキツイぐらいだと思うし。今更もう直せないもんは直せない。

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