あたしと徹が付き合ったっていうのは、すぐに広まった。
今でも廊下を歩くと「あの子…」とヒソヒソと何か言われてるし、それが悪口でも別に気にしないけど。
だけど、及川徹。あんたってやつは。

「もーだから聞いてよ岩ちゃーん。その時まりってばさーあ!」
「いい加減にしろ及川徹」

あたしは徹の尻を蹴った。すっかり暴力女と言われるようになったけど、だって他にどうしたいいんだこの気持ち。
岩泉は倒れた徹を一瞥してため息をついた。

「こいつどうにかしてくれ」
「無理。あたしもどうにもできない」
「も〜俺をその気にさせるのはまりちゃんだけだよ〜」
「(うっ…)言ってろばーか」

あれからすぐ顔に出さないよういろんな特訓をしてポーカーフェイスを身につけた。今言われてることも心の中じゃあ悶えるほど嬉しいけど顔には出さない。

「…ところでお前、俺に英語の教科書借りに来たんじゃないのか?」
「ああ、そうそうそれで来たんだった」
「もー!彼氏である俺を置いて岩ちゃんに借りるってどーゆー事!?」
「じゃあ徹も岩泉から借りればいいじゃん」
「あっそれならいっか!」
「いやなんも変わらねーだろ」

徹はあれからあたしにべったりだ。休憩時間の度にあたしと方に来て、たまに友達と喋ったり、まあ主にはあたしとだけど。
あたしの前で女の子と話したりしてるのは本当にバカなのだろうかと思った。徹が恋の駆け引きだよなんてバカなことをいうから一回殴ってやった。今更そんなことをされても何も思わない。だって、だって徹はあたしのこと好きなんだもん。
理由はたくさんあるけど、今だって岩泉に教科書借りようとするとそれを阻止しようとするし、あたしが同じ委員会の男子と話してたらすっごいヤキモチやくし、結局はあたしと変わらないんだって思った。

「あっ…俺の天使ちゃんがずっと見つめてくるっ」
「気持ち悪い」
「ひどいっでも照れてる可愛いっ」
「どこがだよ」
「うるせー岩泉。お前の教科書にうんこ書く」
「もう!天使はうんこなんて言葉使わないよ!一瞬見間違いかと思ったよ!」

ぷんすかぷんすか怒る徹に岩泉。あたしは相手にしてらんない、とため息ついて一人教室に帰った。


20150821
10話でこのお話は終わりです。
これは後日談みたいな。

番外編は小ネタにあります。

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