二人とも社会人になり、時間も段々ととれなくなって連絡も少なくなった。そんな時、二人でどこか旅行にいかないかとはじめに誘われ、行くことになったのだが。内心嬉しすぎて死にそうだった。今日のために美容院にいったりメイクを変えたり、お前に似合うと褒められた系統の服を身につけ、いざ旅行!…と考えていたのに。

「すぐ寝ちゃう…」

行きの電車でぐうぐう寝ている彼氏さまの寝顔を見てため息をついた。疲れてるよね、あたしは昨日休みだったからよかったけど、はじめは昨日も仕事だったみたいだし。……仕方ないと思うけど。

「着いたよ〜」

目的地に着き、はじめを起こす。温泉に行こうという話しを持ちかけたのははじめのほうだ。疲れをとりたかったのかなあ、と思ったんだろうなあ。旅館の中に入り、部屋に入って荷物を置いてキャアキャア騒ぐあたしにはじめは笑った。

「そんなに良かったか」
「うん、温泉なんて久しぶりだしね」
「良かった」
「うん」

はじめが疲れているのは一目瞭然だ。遠出してよかった。まだ夕食まで時間はあるから、あたし一人で観光しても大丈夫かな。

「寝ててもいいよ」
「あ?」
「私ちょっとそこらへんぶらぶらしてくる!」
「…なんでだよ」
「なんでって、はじめ疲れてるっぽいし」
「…はあ」

頭を抱えてはじめはため息をつく。ギラりとした瞳を私に向け、離さない。

「何でお前と二人で来てんのに、別行動してんだよ」
「…あ」
「俺も行く。ほら、」

手を出され、あたしはおずおずとそれを握った。温かかった。
外に出て、寒いね〜といいながらぶらぶら歩く。近くに商店街があるらしいので、そこで掘り出し物とかあればいいなあ。

「う〜さみ〜」
「あ、あたしカイロ持ってるよ!」
「…」

ポケットから出すと、はじめはそれを受け取り自分のポケットの中に入れ、そのままあたしと繋いでいる手もポケットの中に入れた。あ、あったかい。

「こうすりゃあったけーな」
「…うん」

かっこいい。そうやって笑うところが、かっこいい。久々にこんなに近い距離であたしはどきどきしている。やっぱり、はじめがすき。

旅館に戻り、夕食もすませ、温泉に入る事になった。

「よっし!温泉はいろっか〜」
「そうだな」
「あたし効能がいいとこ探す!」
「知ってるか」
「ん?」
「ここ、混浴もあるってよ」
「……」

にい、と笑うはじめに私は苦笑いを浮かべた。

20160508
青夜様、素敵なリクエストありがとうございました!
温泉がいいとおっしゃっていたので、温泉の話かあ〜と試行錯誤しながら書いていたら、こうなりました。笑 お気に召していただけたら幸いです。
素敵なリクエストありがとうございました!

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