「あっ、お、おはようっ…東峰君…」
「お!おお、おはよう!」

教室に入った瞬間、近くにいた東峰君と目が合い、どもりながらも挨拶する。挨拶するだけでも、顔が赤くなってしまうのをどうにかしまし。東峰君もうつっちゃうから。

「あれ?今日、髪型違うね」
「あっうん、今日は時間あったから…」

ツインテールに編み込みをするといったものをしてきた。時間があったから、は本当だが、東峰君に少しでも可愛いと思ってほしくて。チラチラ東峰君を見ながら髪を弄る。「変、かな…」ぽそりと言ったら、「え!全然!」と慌てた東峰君が返事をしてくれた。

「か、かかか、か…」
「…」
「可愛い!…と思う」
「…」

わー、わー、どうしよう、可愛いって言われた。顔が物凄く熱くなってきた。ぱ、ぱ、と顔をふり、「ありがとう…」と小さくお礼を言った。うん、と東峰君。無言になる私たち。「席つくね」と言って、私は自分の席まで歩いていく。席について、ば、と勢いよく顔を伏せた。

「ふふふ、ふふふ…」

可愛いだって。可愛いだって!そっか、この髪型可愛いか。毎日したら気合入りすぎって思われるから、たまにしよう。それで、また可愛いって言ってもらおう。ニヤけが抑えられない。好きな人に可愛いといってもらえるのは、こんなにも嬉しいことなのか。顔をあげ、東峰君を探す。東峰君は男子と仲良く喋っていた。よく強面とか、留年した人とか、あんまり良い噂を聞かないけれど、東峰君が凄く良い人で、優しい人なのは知ってる。この前東峰君に思い切って告白したら、オッケーしてくれた。顔を真っ赤にしながらよろしくお願いしますって言ってくれたんだ。今でも鮮明に覚えてる。凄く、凄く嬉しかったなあ。そういえば今日、一緒に帰る日だったかもしれない。東峰君をもう一度探すと、席に戻っていたので、てくてくとそこまで歩いていく。

「あの、東峰君」
「ん?」
「今日、一緒に帰る日、だった、よね…?」

不安になりながらも、ゆっくりと聞く。東峰君はフワりと笑って、コクりと頷いた。それがとても嬉しくて、私も笑顔になった。何話そうか決めておこう。でも東峰君、私が何話しても笑顔で聞いてくれるんだよなあ。嬉しい。

「嬉しい?」
「え?」
「俺と、帰れて…」

もじもじとしながら聞く東峰君に吃驚して、即答することはできなかったが、「う、うれしいよ」と小さく呟くと、照れながらも嬉しそうに笑ってくれた。

「俺も、嬉しい」
「そ、そっかあ…へへへ」

頭を掻くと、東峰君は笑った。朝からこんなに幸せになれるなんて、東峰君のおかげなのかもしれない。チャイムがなったので席に戻ったが、すぐ東峰君のほうを向くと、東峰君もこっちを見ていて、またお互いに笑った。

20160304
匿名様、リクエストありがとうございました!
リクエストに彼女とは書いていなかったのですが、初々しい、というのならやっぱり彼女にしなきゃ!笑ということで、東峰と付き合っている設定です。素敵なリクエスト、ありがとうございました。それでは失礼します。


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