「あっ、岩泉さんの彼女さんだ」

何時もの如く練習が終わるのを校門前で待っていたら、知らない子に話しかけられた。よくみたら、見たことがある気がするけど、やっぱ分からない。

「こんばんはー!俺矢巾って言います!」
「あ、ど、どうも…」
「や、矢巾さんが岩泉さんの彼女ナンパしてる…」
「うるせー自己紹介しただけだろ!」

ゾロゾロとやってきて、目が回りそうだ。なんでこう、話しかけられるんだろう。岩泉ってそんなに人気者なの?さすが、さすが岩泉…!男の中の男!男にもモテるってすごいとおもう!岩泉だからこそだと思う!そのかっこよくて仕方ない男があたしの彼氏ってすごい最高〜!

「あ、あの、どうしたんですか」
「…はっ。い、いや、なんでもないです」
「岩泉さんもうちょっとかかりますよ」
「あ、そうなんだ。ありがとう」

髪の毛長い子が教えてくれた。あ、この子、あたしにタオル渡してくれた子だ…。「この前はタオルありがとう」というと、「いえ…」と頬を掻いた。背凄い高いな。その隣の無表情の子も高い。凄い、怖い。

「あ、あの、大丈夫だよ、帰っても…」
「いえ!暇つぶしに俺らを使ってください!」
「俺帰りたい…」
「何かいったか国見」
「いえ」

矢巾君は、二年生かな?それで、この二人が一年かな?凄い気を遣われている…。「お構いなく」というと、「構います!」とか顔を近づけてきたのでもう怖い。助けて岩泉。本当岩泉助けて。

「あの!どっちから告白したんですか!?」
「え、えーと…」
「やっぱ岩泉さんじゃないですか、あの人男前だし」
「あー。ぽいぽい」

うん、そうなんだけど、そういうの聞かれるの凄い困る。思い出してニヤけてしまうから。頬が緩むのを感じながら、岩泉だよ、と言おうとしたら、「あ〜〜!」と後ろから及川君の声が聞こえたので無表情になった。

「岩ちゃん!彼女が絡まれてる!」
「はあ?何してんだお前ら」
「あっ岩泉さん!ちょっとお話させていただきました!失礼します!」
「ちょ…」

岩泉が来たことに焦った矢巾君は走って逃げてった。残った二人もため息をついて、岩泉たちに失礼します、といって帰って行った。…嵐のような人だったな。

「ていうか岩ちゃん、彼女と帰るの〜!?俺とは?」
「お前も彼女いんだろ」
「今日は一緒に帰る約束してないの〜!」
「及川君うるさい。かえろ」
「おう」
「ちょっ酷い!」

及川君に冷めた目を向けながら岩泉の袖を引っ張る。さりげなく、さりげなく手とか繋いじゃったりして…。探し出した手に自分の指を絡めると、ぎゅ、と握ってくれた。

「じゃあな及川」
「岩ちゃんの…裏切り者〜!」

及川君の声がキンキンと耳に響き渡る。それよりも、手を握れたことが嬉しい。手、あったかいなあ。

「お前、あいつらと何話してた?」
「あいつら?あ、矢巾君のこと?」
「名前まで知ってんのか…」
「名乗ってくれたの。といっても、全然だよ。どっちから告白したの?って聞かれて」
「…矢巾…」
「あはは、岩泉、人気者だね」

今回はちっさいって言われなかったら嬉しい。三年の失礼さは異常だったのかもしれない。ホクホクとしていると、岩泉はため息をついた。

「名前」
「あっ…ごめん、くせで」
「そのくせ直るのかよ」
「なおしてみせます…」
「よろしい」


20160306
ひみか様、リクエストありがとうございました〜!後輩の絡み…考えてみたら誰も絡みに行かなさそうだなあと、矢巾を出してみました…。いかがでしたでしょうか。お気に召していただけたら幸いです。素敵なリクエストありがとうございました!


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