岩泉は、ほんとにほんとにかっこいい。あんなイケメンで男前、世界中のどこ探してもいないよ、それぐらい、それぐらい岩泉のことをかっこいいと思ってる。そんな岩泉は、あたしの〜彼氏なのです!

「おい名前、お前今日委員会?」
「そうだよ〜」
「じゃあ待っとく」
「…おっけ」

部活を引退した岩泉は月曜日以外も待ってくれるようになった。正直凄い嬉しい。岩泉がいるからニヤけたりはしないけど、今すっごい我慢してるけど!

「は〜じゃあ俺も勉強すっかな」
「どうせすぐ寝るでしょ」
「なめてんのか寝ねーよ」
「あはは!」

この前寝てたくせにー、と弄ると、眉間に皺を寄せて噛み付いてくる。可愛い。そんなところも可愛いと思う。私はどんな岩泉でもウェルカムだよ。


「ちょっと名前ちゃん!なんですぐ起こしてくれないの!」
「気持ちよさそーに寝てたから」
「彼女待たせてんだけど!」
「あっそうなんだー知らなかったよー」
「反応すごくウザい!」

副委員長なので、今日話し合ったことをまとめて、終わったあとに及川君を起こしたら今のようにぷんぷん怒ってきた。相変わらずうるさい人だ。早く岩泉に会いたい。

「大体名前ちゃんさあ!岩ちゃんにもそんな感じなの?」
「なに、そんな感じって」
「そうやってツンツンしてんのー?」
「……別に及川君には関係ないじゃん」

あの時以来、素直になろう、素直になろうとがんばっているんだけど、上手く行かない。岩泉は名前で呼んでくれるようになったけど、正直それにまだドキドキしてるけど…ちらりと及川君を見ると、ニヤニヤしていた。

「あれれ〜?名前ちゃんって〜岩ちゃんに対してもそんななの〜?」
「うるさい!黙れ!はげ!」
「ハゲてないし〜。顔真っ赤になっちゃってさ〜。岩ちゃんかわいそ〜」
「う、うるさい…!」

及川君と口論をしていると、あっという間に自分の教室の前まで来た。「じゃあね〜」と手を振る及川君に「さっさといけ!」と叫んで教室に入った。教室には、岩泉一人が席に座っていた。「お待たせ〜」そう言ってリュックにノートやらなんやら入れていると、岩泉の視線に気づいてバッと顔を向けると、睨んでいた。

「ど、どしたの」
「…お前、及川と仲良いんだな」
「えっ、及川君?なわけ…」
「全部聞こえてる」
「えっ」

じゃあ岩泉の話してたこととかも…?ドキドキしながら「全部って?」と聞くと、「お前が及川にハゲっていってるところから」と言ってきたのでとりあえずホッとした。いやいや!ホッとしてるところじゃないけど!

「お前、俺の周りの男子と仲良すぎだろ…」
「そ、そんなことは…」
「お前、ダメだかんな。あんま仲良くしたら」
「えっ、う、うん」

子供っぽい言動に吃驚しながら教科書をとりあえず入れる。中々入らない。だけど岩泉から視線をそらせない。岩泉もリュックを背負って、あたしの元へと歩く。あたしはチャックをしめて、リュックを背負う。

「帰るか」
「ん」

それから靴箱まで無言だったけど、ローファーを履いて外に出た瞬間、あたしの手をつないできた。それに吃驚して「い、岩泉?」と呼んだら、少し睨みがちに「ちげえ」と呟いた。

「はじめ、だろ」
「…!」

ぼぼぼ、と顔が熱くなっていく。口をぎゅっとつぐみ、何か訴える目で岩泉を見つめると、「岩泉つったら返事しねー」と言われ、顔をそむけた。ガーン、と大きな岩が私の頭上に落ちたみたいな衝撃が走る。岩泉って呼んでも、返事してくれない…!岩泉という5文字に私の愛全てをこめて呼んでいるのに…!ちら、ちらと岩泉を見てもこっちを向いてくれない。もう、今日なんか、子供っぽい…!可愛い…!

「は、はじ、はじめ…!はじめ!」
「何だよ」
「名前呼びは…慣れません…」
「何ヶ月たったと思ってんだよ」
「うう…」

確かに、結構経ってる…。仕方ない、頑張ろう、岩泉に見捨てられないように!帰って名前呼びの特訓だ!

20160228
かの様、リクエストありがとうございました!岩泉の長編番外編リクエストですが、いかがでしょうか?久々にこのヒロインを書いたので、変なところがちょっとあったかも…(笑)楽しく執筆させていただきました。素敵なリクエストありがとうございました!


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