ケンちゃんは、皆から恐れられている。
私も、最初はそうだった。

「未だにあんたらが付き合ってるのが不思議でならないわ…」
「やだも〜いいでしょ〜」
「いや…」

ケンちゃんの目つきは女子を気絶させるほど怖い。と私は思う。私も凄く怖いと思う。でもでも、私と一緒にいるときのケンちゃんは…そんなに怖くないと思うんだけど。

「みんなが思ってるほど怖くないと思うけど」
「いやいや。怖いわ」
「別に殴られたりしないよ?」
「男子にはつっかかりそうじゃん…」
「もう、ケンちゃんは立派なバレー男児だよ?そんなことして問題起こしたら部活できなくなっちゃうよ〜」
「まあ、確かに…」

ケンちゃんの偏見はなくなることはないんだろうなあ。私も最初いろんなこと思ってたし。今は全然思わないけど!結構優しいし、私の話聞いてくれるし、何より手を繋いでくれるのが好き〜!

「名前」
「あっじゃあねいっちゃん!ばいばーい」
「ばいばい…」

ケンちゃんが私を呼んだので、リュックを背負って友達に手を振る。もう生物部には顔を出していたので、ケンちゃんをクラスで待っていたんだ。「今日はオフなんだっけ?」と聞くと、こくりと頷くのでうれしくなる。どこかなあ、市民体育館にいくのかなあ、それとも新しくできたコンビニのハミチキを買いにいくのかな?

「…今日練習してくから」
「あっ、はーい。じゃあそこまで一緒だね〜」

ニマニマと笑うと、ケンちゃんも不器用に笑った。多分、嬉しいんだと思う。最近分かってきた。それでもまだ、分からないことだらけだけど。

校門を抜けて、さっと手を繋いでくれたケンちゃんに頬が緩むのを感じながら、私は話しかけた。

「そういえば、矢巾君?に話しかけられたよー」
「……なんで」
「君、あの京谷と付き合ってんだって?やるなあ〜って嫌味ったらしく」
「……」
「だから、いいでしょ〜ってすっごい笑顔で言ってあげたんだ〜」

ニコニコと笑いながらそう言うと、吃驚した顔で「そうか…」と言って顔を背けた。心なしか嬉しそうだ。可愛い。そういうところ、凄く可愛い。

「矢巾君と仲良くないの?」
「……」

答えたくないみたいだから、これ以上はやめておく。

「あ、そういえば!私アルビノ意外も観察することになったんだ〜それがね〜すっごい目つき悪くてね〜ケンちゃんにそっくりなの!」
「あ?」
「も〜怒んないでよ〜!」

だから、ケンちゃんに会えなくても、その子みてたらケンちゃん思い出すから、いいんだ。私はとっても幸せ。今が凄く、凄く幸せ!


20160307
橘様、リクエストありがとうございました!京谷は彼女ができたら顔には出さないけど凄い好きオーラがでてきそうですね。笑
素敵なリクエストありがとうございました!


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