受験も終わって、ひと段落していたので、はじめ宅にお邪魔したんだけど、凄いドキドキしたんだけど、下着とかちょ〜っと良い感じのにしてみたけど、何も起こらない。

「おい!」
「何だ」
「何みてんのよ!」
「これ」
「いや分かるけど!」

今65巻。とか超どうでもいいことを言ってきたので奪い取ろうかと思ったけどそれは流石にウザイからやめる。何黙々と自分の家においてある漫画を読んでいるんだはじめ!そんな真面目な顔して読んでてもかっこいいと思うだけだからやめてよ!あたしもなんだかんだで読みすすめて今12巻だけどやめてよ!あたしはこの漫画を読みにこの家にきたんじゃない!いや、別にほのぼのしてていいと思うけど…何かハプニングが起こるんじゃないかなって思ってスキンケアは念入りにしてきたし、香水はキライだっていうから良い匂いのシャンプーで髪洗ってきたし、濃いメイクはいやだっていうからはじめ好み(自分で色々試した)のメイクにしてきたし、可愛いワンピースを着てきたし…ばっちりなはずなのに!

「はじめちゃーん…」
「何だよ」
「そろそろ構いどころだけど…」
「あとちょっと」
「も〜〜〜…」

漫画を元の棚に戻し、はじめの背中に抱きついて顔をぐりぐりと擦りつけるけど、本気で漫画に夢中になってるみたい。あたしより漫画かよ!漫画にヤキモチやく彼女ってどうなの!ゆーらゆらと揺れてみるけどはじめはびくともしない。ひしっと強く抱きしめても何も言わない。もー!

「可愛い可愛い彼女を放っておいて漫画は許せん…」
「言うようになったなお前」
「ふん、もうしんない」

ぱ、と腕を離し、横のベッドにもたれかかって携帯を触る。今度ははじめがイライラする番なんだから。ふう、とため息をついて棚に漫画を入れるはじめを見てふふふと頬が緩む。ほうら構えと言ってごらんなさい、イヤだといってあげるから!そう考えながら友達にラインを返す。はじめは終わったぞーと言ってあたしの隣にどすんと座った。だがあたしにだってプライドはある。無視だ、無視。ツンとしてラインを返すのに勤しんでいると、おい、とあたしの髪を掴んで軽く引っ張ってきた。む、無視。無視。そのままあたしの髪で遊び始めた。チラりと見ると三つ編みをしていたので、きゅんと胸が高鳴った。か、可愛い…!あたしの髪で遊ぶはじめ!もうどうしたらいいの今すぐ抱きつきたい。だ、だけど、我慢、我慢…!

「名前」

髪をぱっと離してあたしの名前を呼ぶ。さっき全然構ってくれなかったんだからあたしだって怒ったんだから。返事をしないでいると、顔を近づけられ、横髪をすくって息を吹きかけられた。

「っひい!?」

吃驚して手で耳を覆うと、ニヤりとしたはじめと目が合って、顔が赤くなった。少しだけ距離をとると、岩泉は近づいてきてあたしの肩を掴み、耳にちゅ、と軽くキスをした。それにびく、びく、と反応していると、「ほんと耳よえー」とクツクツと笑うので、悔しくなったあたしは携帯をベッドの上に置いてぷい、とそっぽを向いた。バカ泉。好き。

「名前ちゃーん」
「応答しません」
「応答してんじゃねーか」
「不機嫌です」
「どうしたら不機嫌じゃなくなる?」
「………」

そう、聞くのはずるいと思う。口を尖らせながら振り向くと、待ってましたと言わんばかりに口の横に唇を押し当てた。出た、はじめの焦らしプレイ〜!

「もう!それ嫌い!」
「なんでだよ」
「するならここ!」
「じゃあお前からすれば?」
「むむむ…」

ニヤニヤと笑うはじめ。もうかっこよすぎてメロメロなんだけどどうしよう。「目瞑ってよ」とぶっきらぼうにいうと、さ、と目を瞑るはじめ。とりあえず写真撮ろうかなとか考えていたら、早くしろとせかされたのでやめることにする。顔を近づけて、少し顔を傾けて、はじめの唇に自分の唇を押し当てた。すぐに離すと、あたしの頭を突然ガッと掴んで、今度ははじめのほうからキスをしてきた。う、は、始まった…!ここからが長いんだ、と思いながらも、はじめの熱っぽいキスが好きだからやめてなんて言えない。ただ、好きすぎて、大好きすぎて、呼吸困難に陥りそうだ。

「…お前すぐヘトヘトになるよな」
「はじめが…おかしい…」

満足げなはじめに、翻弄されている。それでもいい、だって今のはじめ、凄い目がキラキラしてるんだもん!大好きだなあ、と思いながら、また降ってきたキスを迎え入れた。

20160306
匿名様、リクエストありがとうございました〜!部屋でイチャイチャ、ということで…岩泉の部屋には漫画がたくさん置いてありそうですね、恐竜のフィギュアとかありそうです…笑
素敵なリクエストありがとうございました!

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