「わ、わ、わ、ちょ!可愛い!可愛い!」
「わかったわかった」

あたし達は今、動物園に来ている。といっても、夏休みにだ。卒業して離れ離れになってしまったあたし達はたまにしか会えないけど、変わらずラブラブ…だと思います。というかあたしがはじめに対してのラブが冷めない限りはラブラブだと思いたいです!そして今、ふれあい広場、というところで小動物と戯れています。主にうさぎ。

「どうしてこんなに可愛いの…どうしよう…モコモコしてる…はじめ!モコモコしてる!」
「わかったから、落ち着け」
「こっそり連れて帰ろうかな…」
「やめろ」

行くぞ、と手を引っ張られ、手を洗ったあとまだ周っていないところを周る。キリンとか、カンガルーとか、フラミンゴとか、すごい、すごいと思う…。

「テンション超あがる」
「お前ちっこいんだからはぐれんなよ」
「手繋いでるから大丈夫だし」
「俺がうっかり離したらどっか行きそう」
「行かないから!」

ぎゅっと手を握り返すと、あちいわ、とはじめの方は軽めに握り返された。確かに暑い。その中こうやって手を繋いで歩いているのはなかなか暑苦しいのかもしれない。

「コアラみよう!コアラ!」
「こっから一番遠いぞ」
「歩こ!」
「はー…お前中々体力あんな」

今日履いてきたのがサンダルで良かった。パンプスとかヒールの高いものはいてきてたら靴擦れ起こしてたかもしれない。控えめに女の子の格好をしてきたあたしをかわいいと褒めてくれたはじめが凄く好きです。あの時は倒れそうになった!はじめもかっこいいといったら、照れなくなった、と少しつまらなさそうだった。なんだ、それ。

「次はねー…」
「ちょっと休憩しようぜ。熱中症なるぞ」
「はーい」

屋根がついたベンチに腰掛けて、マップを見直す。まだ見てないところはどこかな。

「お前、楽しそうだな」
「うん、久々に来たからね」
「ふーん」
「……はじめと来れたから、ってのもある」

こういうとこ、彼氏と行けたらいいなあって思ってたから。だからはじめと、こんなに好きな人とまわれて幸せだ。ほんとに、良かったと思ってる。

「お前、素直になったな」
「な、なによ」
「ツンツンしてたお前も可愛かったけどなー」
「なによ。今のあたしに文句があるってわけ?」
「ねーよ。どんなお前も好きだ」
「っ……あ、そう」
「照れたな」
「照れてない!」

くそう、かっこよすぎるのバカ!こんなの、あたし以外も惚れるから、絶対。だけど絶対渡さない。もう絶対私たりしない。こんなかっこよくて男前で、私を大事にしてくれる人世界でどこ探してもいないもん。そんな意味合いをこめて、ぎゅっとはじめの手を握りしめた。

20160308
匿名様、リクエストありがとうございます!
私服デート、とのことでちょっと未来の二人にしてみました。お気に召していただけたら幸いです。
素敵なリクエストありがとうございました。



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