「うおっ寝てらあ」
「おっマジですね〜。上着でもかけときます?」
「お前のくさい上着かけんのかよ」
「ひどっ酷いです夜久さん!」
「静かにしろ、起きるだろ」
「勝手に上着かけたらクロが起こるよ…」
「確かに」

いや、いやいや。それを見ている俺はどんな反応すれば良いんだ。
顧問と話をしていて、遅くなったなあと思いながら部室に入ると、俺の彼女である苗字名前が壁にもたれかかって寝ていた。それを目撃した音駒バレー部がこのように…このように…。

「とりあえず一旦離れろお前ら」
「わっいたの」
「散った散った」
「男の嫉妬は見苦しいぞー」
「彼女に愛想つかされるぞー」
「うっせえ黙れ」

手ではらいのけるように男子バレー部を帰し、ため息をつく。何でここで寝てるんだ…。風邪ひくだろ、と思いながら起こすことにした。肩をゆさゆさと揺さぶり、彼女の名前を呼ぶ。くそ、彼女の寝顔を見られてしまった。こいつの寝顔は超可愛いんだ。何でこんなとこで…ほんとに危機感がない。

「名前ちゃーん。起きてくださーい」
「んんん…」
「朝ですよー。朝ごはんできてまーす」
「嘘やばっ!?」
「こんばんはー」

バッと起き上がった名前は目を見開いている。今まで寝ていたのにすぐ覚醒した名前は凄い。というか朝ごはんで起きるってどうなんだ。ここが部室で、まだ朝じゃないと分かったのか、へなへなとそこに座り込んだ。

「もー、びっくりさせないでー…」
「お前がこんなとこで寝てんのが悪い」
「あんた待ってたのよー…」
「いや外で待ってろよ」

外寒いじゃん、と言ってあくびをする彼女にため息をつく。

「お前、今度からここで待つのなしな。寝るから」
「寝ないしー」
「電気ついてると何かあったのかってみんなくるんだよ」
「えっ…ということは」
「今さっきまでいました」
「ええっ!?一生の不覚!」
「アホか」

こいつはほんとアホだ。彼女の寝顔を見られた俺の気持ちにもなってみろ。俺の上着じゃなくて、後輩の上着を彼女にかけそうになったところを見た俺の気持ちにもなってみろ。色々言いたいことはあるが、とりあえずでこぴんに俺の感情全てこめた。

「いった!いったいんですけど!」
「何でそう、お前は危機感ねーんだよ…」
「いや、音駒バレー部を信頼してるから」
「そういうことじゃねーだろ…」
「……嫉妬っすか?」
「……」

何も答えないでいると、そうか…って真面目に頷くから、いらっときてもう一回でこぴんをした。「いったいなー!もう!」と怒って来たので、またため息をつく。

「彼氏君のためにここで待つのはやめます。寝るので」
「そうしていただけるとありがたい」
「はい。今後気をつけたいと思います」
「お願いします」

深々と頭を下げられたので、俺も頭を下げる。何だこの儀式は。俺らはバカか。と思いながら頭をあげると、らんらんと瞳を輝かせて俺を見ていたので、なんだよ、とぶっきらぼうに答える。

「鉄朗君の嫉妬は可愛いなあと」
「……押し倒すぞ」
「キャーこわーい」

クスクスと笑いながら俺の頬を愛おしそうに撫でるので、またため息をついてしまった。

20160307
匿名様、リクエストありがとうございました〜!音駒バレー部にもしマネージャーがいたら凄い可愛がりそうですよね。笑 それが先輩だったらなおのこと愛されそうです。
素敵なリクエストありがとうございました!


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