「はー、どうしよう松川ー」
「いや、俺に言われても」
「だって松川以外にこんな話できないんだもん!!」
「変わらず意地っ張りだよなあ、お前」

松川とは同じ中学で、三年の時に同じクラスになって結構仲が良かった。だからあたしのこんな性格をわかってくれる良き理解者でもある。今日は、たまたま廊下であったから、松川の腕を強引に引っ張って、窓を見つめるようにして話している。

「ねえ花巻って女子の話するの?」
「あークラスに仲良い女子はいるとは言ってたなあ、数ヶ月前に」
「へえ…」
「あんまそーいう話しねーよ、あいつ」
「そ、そうなんだ…」
「及川とか岩泉とかいじるほうが楽しいみたいだな」

そうなんだ…。ていうか仲良い女子があたしじゃなかった時だよね…。くそ、花巻があたしのことどう思ってるのか、すごい気になる…。

「でもよ、お前のこと好きだと思うぞ、あいつ」
「へえ!?」
「俺がお前のクラス行った時お前と口喧嘩しててすげえ楽しそうだった」
「…ほう」
「だから好きなんかなって」
「…い、いやいや」

よくよく考えれば、それぐらいで好きなんて甘すぎる。花巻って何考えてんのかわかんないし、まあ楽しそうってのは本当かもしれないけど、好きではない…と思う。

「もうこれ卒業してからも引きずりそ〜」
「告ればいいじゃん」
「だって!あたしが今告白しても冗談としか捉えてくれなさそうだもん…」
「仕方ねえな、お前の行動的に」
「うう…」

だって、花巻の前だったら素直になれない。なんでかなんてわかんないけど、花巻を前にすると、言わなくてもいいことや、暴言を吐いてしまうんだもの。素直じゃない自分が嫌で仕方ないけど、もし素直だったら。きっと花巻はびっくりしてしまうだろうなあ。はあ、と窓を見つめたら、窓に見覚えある顔がうつった。

「二人は付き合ってんの?」

もちろん、花巻。

「ねえよ。俺ら中学一緒で仲良かっただけだから」
「そ、そうよ。変な勘違いして松川を困らせないでよ」
「案外満更でもないんじゃないのかー?えー?好きなんじゃないのー?花田さんよぉ」
「っんなわけないでしょ!ていうかあんたに言われるとムカつく!」
「はあ?意味わかんないんですけどー」
「うっさいバカ花巻!死ね花巻!」
「そこまで言わなくてもいいだろ!」
「っ、あ、あんたが変なこと言うからでしょ…」

冗談でも、そんなこと言ってほしくなかった。
やっぱ花巻って、あたしのことなんとも思ってなかったんだ。

「花田、お前言い過ぎだぞ」
「…うるさい松川」
「…はあ。俺教室戻るわ」

そう言って逃げるように教室に入って行った。松川の馬鹿野郎。なんか、涙出てきそうなんだけど。

「…おい」
「うっさい!あんたとはもう話したくない!話しかけんな!」

あれもこれもどれも、まとめて全部花巻が悪いんだから!
花巻の横を素通りして、教室に入った。

20151228



戻る
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -