「あーマネージャーほしいな」
「…どうしたの」
「鳥野いんのによ、こっちは…及川のせいでいねーし」
「…あたしにやってほしいって?」
「誰もそんなこと言ってねーけど」
「あたしの前の席に座ってそんなこと言い出すとかあたしにやれって言ってるようなもんでしょ!?」
「おお、すげーなお前、言い切ったな」
「…」

息も絶え絶え、花巻はぎゃはぎゃは笑ってる。一回どついたろかこいつ。キッと睨むと「わーったわーった」と何も分かってない様子。

「お前及川のことどう思ってる?」
「特に何も思ってないけど」
「キャーとか騒ぐ?」
「騒ぐように見える?」
「見えねえ」
「でしょ」

何が言いたいんだ、結局。あたしにマネージャーをやってほしいのか、と聞けばそうじゃないっていうし、言いたいだけなのだろうか。仕方ない、これも惚れた弱みだ、聞いてやろう。

「はー、でもお前にはやらせたくねえ」
「なんでよ」
「なんかムカつく」
「はあ?」
「まあマネージャーになったら毎日俺に会えるけど?」
「自意識過剰」
「照れんなってー」
「照れてない。ていうかマネージャーしないよ、あたし。もう三年だし、勉強に専念したい」
「うわ、お前真面目かよ…」
「何引いてんのよ」

正直花巻がマネージャーに勧誘してきてもする気はない。今更だし、あたし絶対花巻のことばっかりみて仕事にならないだろうから。ていうかマネージャーいなくても成り立ってるんだからいいじゃん。

「じゃあマネージャーはもういいか」
「…うん」

何、結局これは勧誘だったの?もう、分かりにくいこいつ。そういうところほんと嫌い…でもない。でもやだ。少し期待してしまう私も超嫌だ。

「あー」
「今度は何」
「彼女ほしいな」
「!?」
「及川もいるし岩泉も最近できたしよー」
「へえ、岩泉君もできたんだ」
「かなり可愛いらしいぞ。すっげえベタ惚れで気持ちワリー」
「なんだ、見たことないの?」
「おう」

ちょっと見てみたい。というか花巻から可愛いっていう単語が出るなんて…。目の肥えてそうな花巻が可愛いってどんだけ可愛いんだろう。…なんか面白くない。

「何ブスっとしてんだ。ブスがますますブスになんぞ」
「余計なお世話よ!」
「わー怒ったーすぐ怒るよなー」
「誰のせいだと思って…!」

ハッとした。この前短気直すって決めたじゃない、沙紀…!もう嫌だ。またやっちゃった。きっと花巻は私のことすぐ怒るブスとしか思ってない…はあ…死にたい。

「なんで今度はしょげてんだ?」
「うるさいわね黙って」
「お、戻った」
「…花巻はあたしを怒らせる天才ね…」
「はは、どーも」
「褒めてない」

こんな風に怒るのは花巻だけだし。あたしがこんななのは、まあ性格っていうのもあるけど。やっぱり花巻のせいだ!


20151129




戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -