花巻って意外とモテるらしい。
この前、チア部の可愛い子に告られたとか聞いたし。正直凄い焦った。あたしはまだ、その子と同じ土俵に立てていないから。

「短気なおさなきゃ…」
「花巻君限定の?」
「そう…じゃないとあたし、本当に嫌われる…」
「もう何言ってんの?花巻くんがあんたのこと嫌うようには見えないけど」
「わかんないじゃん!人って複雑なんだよ!」
「あんたも人だから…」

それにしても、やっぱり花巻くんが好きなのね、ってニヤニヤする友達に違うし!と机を叩いた。見透かされてる感じがたまらなくいや!

「まあなんだかんだで友達だからっ…そ、そう!友達だから思うのよ!」
「へえ〜友達ねえ〜?」
「はっ花巻だってあたしのことっ」
「俺がなんだって?」
「うわ!」

にょき、と横から出てきた花巻に本気でびっくりしながらさっきの話を聞かれていないかと不安になった。

「い、今の話…」
「俺がお前のこと、まで聞いたけど」
「あ、そう。じゃあ散って。今から真面目な話だから」
「いやいや俺の話は?」
「もう終わった。さよなら花巻君」

手を振ってあげると、花巻も笑顔で手を振って本当にあっちにいった。たまにノリいいやつだな。それより、とあたしは長いため息をついた。

「すごい焦った…」
「面白かったから黙ってた」
「おい」

この友達も隅に置けない。ていうかあたしは常日頃ドキドキを花巻にぶつけているのだ。花巻にドキドキして、それがうまく伝えれなくて結局喧嘩してしまう。そんな私が、嫌い。大嫌い。

「変えたい…自分を…」
「花巻君のために?」
「だからあいつのためじゃないし!」

そう、花巻に好かれたいから、変えてしまいたい。花巻に好かれる子ってどんな子なんだろう。清楚で、可愛らしい子?そんなの、今からなれるはずない。ガサツで、身長だって高いし、いつも大声。

「なんであたしはこんな風に生まれてきたの…?」
「ちょっと、病まないでよ」

だって、あたしがもっと可愛かったら花巻と付き合ってハッピーライフ送ってたかもしれないのに!なに!?このあたし!?とにかくこれは花巻が悪い!ぜんぶ、花巻が悪いんだ!

20151119






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