また喧嘩してしまった。どうしてこう、あたしは素直になれないんだろう。ほんとは花巻が好きなのに、口を開けば暴言ばかり。こんな性格、花巻に好かれるはずない。
「はあー…」
ぐでー、と席に顔をうつぶせていると、今さっきのことを鮮明に思い出す。花巻に言い過ぎたなー、どうしてあんなことまで…。ため息はつきない。はあ、今回は私が悪い。
「おい花田」
「……」
上から降ってきた言葉の主は、たった今頭を悩ませていた人物だ。あっちから来るとは、好都合。ちゃちゃっと謝っちゃえ。ぐ、と顔をあげると、あれ、怒ってない。いつもの花巻があたしを見ていた。
「……何よ」
「…」
「…何でそんな見てくんのよ」
「…」
「な、なんか言いなさいよ!」
くっ、これは新手のいじめなの…!?いつまでたっても謝ってこないあたしに痺れをきらしたわけ!?た、確かに今回はあたしが悪いけど、もう…。あんたの手前、素直になれないんじゃない。
「何?用ないのにそこ突っ立ってても迷惑。ただでさえでかいのに立ってたらみんな怖がるよ」
「…」
「だから、座るとかなんかないの…」
そう言うと黙ったまま私の前の席に座った。くそ、黙りを決め込むみたいだ。
「ていうか、なにも言わないとか会話になんないじゃない…」
「…」
「別に喋ってもいいけど」
「…」
くそう、今さっき言った喋んなクズを引きずってるんだろうな…。なぜあたしはあんなこと…。無表情であたしをただ見つめる花巻。こうなったらあたしって見つめてやるし!
…10秒。……30秒。………。
「(無理!これ以上は照れて顔から火出る!)」
「…」
ぎゅっと唇を噛んだ。
「…今さっきは酷いこと言ってごめんなさい…」
あんたには負けたよ。
「だから、口聞いてよ…」
だってあたし、花巻に口聞いてもらえなかったら死んじゃう。
「…やっと言ったか、ばか花田」
「…」
にっと笑った花巻はあたしの頭をなでくりまわした。
「ちょ、ぼさぼさになるからやめてよね!」
「今回は長かったな〜」
「う、うるさいハゲ!」
「残念でしたふっさふさで〜す」
今回は、今回はあたしが悪いって認めてあげるわよ、バカ花巻!
20151220
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