花巻ってゆーやつは、たまったもんじゃない。

「おいこら花巻!なんであたしの机に落書きすんのよ!変な顔かいてるし!ぶさいくだし!しかも鼻毛飛び出てるし!挙げ句の果てにはしたにあたしの名前書いてるし!」
「うるせーなーったく、そっくりだろ?」
「ふざけんなっこの教室他のクラスも使うんだぞハゲ!」
「誰がハゲだとこのチビ!」
「平均身長よかあるわ!」

クラスの名物となっているこの花巻との言い合いももう毎日のようで。あたしだって毎回こんな風に言い合いするの好きじゃないし、結局喧嘩みたいになるのが嫌だ。ちょっとのことでつっかかるのがあたしの悪い癖であって、花巻と話す口実を作ってるだけ。

「はあ、もうお前には構ってらんねー」
「ふん、あたしだって今からおにぎり食べますー」
「うわー、太る元だね花田さん」
「殺すぞ花巻」

こっえーと笑いながら言う花巻にぷつぷつきれそうになりながら堪えた。これ以上は続けたらいけないってあたしの天使ちゃんが囁いてる。短気ですぐキレるあたしは、到底花巻とは仲良くできない。だけど花巻がちょっかいかけてくるし、あたしもそんな状況が嬉しいのだ。
…だってあたし、花巻が好きだから。

「ちょ、花巻あたしのノートは?」
「あっワリ、机ん中だ」
「じゃあついでに提出しといて」
「はあーったく、仕方ねえなあ」

ほら、こういうとこ。
あたし、結構好きだったりする。

「当たり前でしょ。貸してやってんだからそんぐらいしなさいよ」
「超上から目線腹立つー」
「はあ?」
「すぐ睨むのどうかと思うぜ?」
「きしょ。何が思うぜ?よ」

全く似てねーって無表情で言ってくる。この花巻はあんまり好きじゃない。私の好きな花巻は、ちょっと優しいところ。なんだかんだで花巻、優しいし…。
花巻はノート提出してくる、と出て行った。

「今日も我がクラスの名物、夫婦喧嘩見させていただきましたよー」
「夫婦喧嘩じゃないし」
「またまたあ、好きなのバレバレだって」

そう言って頬をぷに、と人差し指でおしてくるこの友達、どうにかなんないかな。
毎回喧嘩になるのは、どう考えても花巻のせいだ。


20151116



戻る
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -