「京谷君とどこかへ消えてったのを見たっていう人がいるんだけど」
「…」

何だそれは。確かにあれは連れさらわれたと思われるような光景だったのかもしれない。だけど消えてったって…。ただ市民体育館に言っただけじゃないか!

「クラス中に広まってるの?」
「そうね」
「だー!」

超めんどくさくなってんじゃん!なんで広まってんだよ!みんなゴシップ好きだな!周りはみんな思ってるのか、消えて行ったと…。ガラ、とドアが開く。京谷君が入ってきて、辺りはシーンとなる。だけど今日は違った。

「お、おい!宇佐美と昨日どっか行ったんだろ?付き合ってんの?」
「なっ…」

私は急いで否定をしようとそいつの元へ駆け出した。それは違うじゃん!おいこら!だけども京谷君は何も言わず。なんで?って思ったら、そいつを睨みつけていた。

「んなわけねーだろ」
「はっ、はい…」
「宇佐美に迷惑だから二度と聞いてくるな」
「はい…」

ぴた、と私は足が止まった。
だって、京谷君。ちゃんと否定もしてくれたし、わたしの心配までしてくれた…!
なんか、なんか泣きそうっす。泣きませんけど。とりあえずそいつに「そうだちげーよ!」と口悪く伝えた。

「京谷くん」
「…」
「ありがと、ね」

京谷君は怖い。目つきがすんごく悪いし、口調だって優しいもんじゃない。急にゴミ箱蹴ったりするし、髪型もなんか怖いし。
…でも、たまに優しいんだよね。

「別に」
「あははエリカ様かよー!」
「は?」
「ご、ごめんなさい…」

やっぱ怖いです。


20151115



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