「球技大会、どれにすんの」
「もち、バレー」
ぐっと拳を見せるとはー、と友達にため息をつかれた。
「あんたバレー好きなくせに下手くそなんだからやめときなよ」
「今年こそはうまくなる気がする!」
「はいはい」
まああたしもバレーで、とバレーの項目のところに名前を書きに言ってくれた。自分の部活のスポーツはやってはいけないという暗黙のルールがある。もちろん野球部がソフトを選んではいけない。男子はどうなったんだろうとみたら、ソフトのところに「京谷」と名前が書かれていた。…京谷君スポーツなんでもできそう。チラりと京谷君をみたら私の視線に気づきギンッと睨んできた。こ、こわいい…。
「あんた何京谷君と見つめあってんの」
「そんな風に見える…?」
「ごめん見えない」
一方的に睨まれてるよ、怖いよ。はあ、とため息をつきながら席に座る。よし、明日から秘密の特訓をしなくてはな!
「えええ、そんなあ…」
「だから、お前に付き合ってる暇はねーの」
同じ生物部の男子に教えてくれと頼んだら断られた。去年は、去年は教えてくれたのに…!うえええんと泣きながら生物部をあとにした。もちろん、その男子は追いかけてきてはくれなかった。
「くそうっばかやろうっ」
小石を蹴りながら下校。じゃあ今年の球技大会は私は活躍できない…。はあ…。とぼとぼと歩いていたら、私の頭上に影が覆いかぶさった。
「……どうした」
「っ京谷くん」
どえええ吃驚した!京谷くん、また寝てたのかな…?ていうか京谷君今日機嫌悪かったのに私に話しかけてくれたよ…!
「あ、えっとですね…バレーの練習、できなくて」
「?お前生物部だろ」
「うん、球技大会バレーにしたからさ…」
もじもじとしていると、京谷君は私をじーっと見て、私の腕を引っ張って「行くぞ」と言って歩き始めた。ええっ、ちょ、どこへ?
「京谷くん、あの」
「ちょっとなら教えてやる」
「ええ!あ、ありがとうございます!」
そうだった、京谷君バレー部だったね。ていうかこれどこへ向かってるんだろうね。
20151103
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