「はあ〜こいつら見てたら癒される。大好きアイラブ生物部」
「宇佐美ー、キモいぞー」

何だよ、いかにも実験とか好きですよみたいな眼鏡野郎!お前なんか京谷君と比べたら全然怖くなんかないんだからな!そういえば今日は京谷君と一回も話してない。相変わらず後ろからの重圧感やばかったけど、前よりも打ち解けた気がする。すっごい怖いけど。

「京谷君にはこいつらの可愛さわかんないんだろうなあ…」

はー、可愛い!と今日もアルビノのネズミを見て癒される。おおっと観察日記書かなきゃ。見返してみたら私可愛いしか書いてない。

「宇佐美、あの京谷と仲良いんだって?」
「待って、どこからそんな情報」
「結構知れ渡ってるけど」
「まじ!?仲良さそうにみえる!?」
「京谷が肉食動物でお前が草食動物って感じかな」
「すごいしっくりくる感じが否めない…」

ああそうですよ私は京谷君という肉食動物に怯えて暮らす草食動物だよ!ていうか生物部だからって何でもかんでも動物で例えるなよ!そう言ってきた男子は眼鏡をくいっとあげて、ふふと笑った。

「面白そうだから観察していい?」
「あんた、京谷君なめてるよね…」

実際近づいてみたら分かるけどすごい目つき悪いし怖いですオーラやばいよ!?と熱弁したらはははと笑われた。眼鏡割ってやろうか、と思ったけどこのアルビノちゃんを見て抑えた。

「まあ、そういうやつと恋に落ちるかもな」
「…ほんと何もわかってないね」

怖くて恋とか言ってらんないよ。だって話しかけられただけでもビクビクしてるもん、あたし。話したくないわけじゃないけど…やっぱり身構えてしまう。

「よくあるだろ、一匹狼に恋するみたいな」
「何かマンガみたいなノリだね」

一匹狼ってのはみんなから恐れられているから一匹狼なんだよ。それに恋するとか、その人はきっと凄くいい人なんだよ、先入観とかない人なんだ。

「はー、私今日は鍵当番じゃないから帰る」
「おー、気をつけろよー」

上着を着て、風が気持ちいいなあと考えながら学校を出た。もうすぐ球技大会だなあ、私どの種目出ようかと考えたその時、見覚えのある後ろ頭が見えた。
そう、彼である。

「きょっきょ、京谷君…?」

京谷君は私の声に反応して振り返った。あれ?とっくに帰ったと思っていたのに。

「か、帰り?」
「…違う」
「そ、そっか!私は帰りなんだー」

話しかけられてキョドるくせに、話しかけちゃうバカとは私のこと。はははって苦笑いすると真顔で私のことを見てきて。

「…気をつけて帰れ」

ぼそり、そう言った。え、え、京谷君が私にそう言ったの…?どうしようなんか変な気持ちになりそう!

「京谷君、も、どこ行くか知らないけど、気をつけて…」
「……今から練習」
「へ?」
「さっきまで寝てた」

でええ!?寝てたとかあるの!?凄いよくわかんない人だな!とりあえず練習ってことはバレーのことなんだろう。でも学校出てるよ…?まあ、あんまり聞くのもよくないよね。

「じゃあ、えっと」
「…」

こくりと頷かれ私は思い切って「ばいばい!」と叫んで手を振ってみた。目の前にいるのに、なんてバカなことをしたんだろう私は。ぱちくりと目を見開かせ吃驚している京谷君を一瞥して走りだした。ああ、なんだ私は、一体何がしたいんだ!

20151103


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