「美味しいね〜京谷君！」
「…おう」
「ハミチキ久しぶりに食べたなあ〜」
あったかいなあ、美味しいなあ。それに、京谷君の隣で食べれるって凄い幸せだなあ。ヒヒヒって笑うと、「気持ちわりい」ってボソッと言われた。いいもん、別に気にしない。京谷君はツンデレだって考えればいいんだ。私のこと何だかんだで気にしてくれるし、心配してくれるし、優しいし…。うふふっ、とんだツンデレさんだな〜。
「…どうした」
「え？」
「笑ってる」
「…あ、いや、あのね、これはえっと…そう！思い出し笑いと言いますかね！」
「何思い出してたんだ」
「え？えっと…あ、そういえばタツ…眼鏡野郎がね〜アルビノちゃんを見て」
「あいつの話はいい」
「え？あ、はい」
タツヤの話をすると急に不機嫌になった京谷君。やっぱりタツヤのことあんまり好きじゃないんだ…！何でかは知らないけど。ちょっとタツヤに言っておこう。多分だけど、タツヤ京谷君の周りをチョロチョロしたんじゃないのかな。京谷という生態系を観察したいとかバカなこと言ってたし。きっとそうだ。
「…お前、あの眼鏡のこと好きなのか」
「え？タツヤのこと？別に」
「……そうか」
「うん」
京谷君はハミチキをむしゃむしゃと食べてあっという間に無くなった。うわあ、食べるのはやい。私も急いで食べないと、とホカホカしたハミチキにかぶりついた。美味しい。何か視線を感じるな、と京谷君を見ると、ハミチキをじーっと見ていて、私はぷっと吹き出した。
「食べる？」
「……いいのか」
「うん、どうぞ」
かじってない部分を差し出すと、ハミチキごと持っていかれ、ガブりと一口。大きい一口だな〜と思いながら返されたハミチキを見るとかなり持っていかれていた。遠慮の無いところも京谷君らしくてまた笑った。「美味しい？」と聞くとモグモグしながらコクりと頷かれた。へへ、かわいい。
「ほんと好きなんだね〜」
「…」
「ん？私も好きだよ！」
「…ごほっ、ごほっ」
「え？ど、どうしたの大丈夫！？」
「ごほっ…何が、好きなんだ」
「え？ハミチキ」
私をガン見するものだから、お前は？と聞かれてるのかと思った。そしたら咽るから…どうしたんだろう。思ったことと違ったのかな。そして私がハミチキと答えるとあからさまに残念そうな顔をされた。ええ？どうしてなんだろう…。
「…お前は、色々と…ストレートすぎる」
「ええ？そうかな」
「心臓に…悪い」
「ええ！それは大変だ！じゃああんまり喋らないほうがいいのかな？」
「……そういうわけでもない」
「そっかあ！」
ニコニコと笑いかけると、京谷君はじーっと見てきて。お、今度は何だ？今度は何か言うまで私は喋らないぞ。じーっと見つめ返すけど、京谷君は何も言わない。私もそらすタイミングが分からなくてずーっと見てる。何だこの光景は。ぽと、と私の手に何かが落ちたと思ったらハミチキの中の具だった。慌てて食べ始めると、京谷君は少し笑って。
「めんこい」
「…へ？」
「…」
「えっきょ、京谷君待って！こ、言葉の意味を、教えて！」
「可愛い」
「う、うん？それは分かるんだけど！」
可愛いって、も、もしかして私に言ったの…？え、京谷君、何でスタスタ先に行っちゃうの。何でこっち向いてくれないの。ねえ、京谷君。待って私、凄い嬉しくてニヤニヤが止まらないんだけど、これは京谷君に言うべきなのかな。京谷君、好きだ。
20151228
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