同じ学年の京谷君は、何ていうか怖い。
だからはっきり言って関わりたくないし、近づきたくない。
てっきりヤンキーかと思いきやバレー部所属らしい。その割には何だその髪…。スポーツマンならスポーツマンらしい髪型をしてほしい。なんてことを京谷君に言えるはずもなく、ただただ月日は流れて言った…。
そして二年生に入り、クラスの名簿をぼけーっと見ていたら、とある名前が入っていた。
その名も『京谷賢太郎』。
見たときはつい絶叫してしまった。周りの人を驚かす程に。嫌でも、まさか同じクラスになるなんて思わないじゃない。席ももしかしたら隣になるかもって考えてたら全然そんな感じにはならなかったけど。

「(斜め後ろからの重圧…)」

分かってしまう殺気に毎回身震いする。だって京谷君、目つきがものすごく悪い。怖すぎ…。4月下旬、早く席替えしたいと思った時だった。

「よっしゃー今日も部活終わったぞー!」

ういーとおっさんのような声をあげながら廊下を歩く。腕を伸ばして腰をぼきぼきと鳴らせば気持ちいい快感。私の部は毎回終わるのだけは遅いと言われていて、窓閉めを頼まれている。私が今日当番だったから、今窓を閉めているところなのだ。

「しっかし雨すっごいなあ…」

警報が出そうだと部長は言っていた気がする。窓を閉めながら非常階段のドアを閉めようとした時、そこに誰かいるのに気づいた。しかもその人はその場にうずくまっている。ええっと思いながらもドアの鍵を閉めようと声をかけた。

「すみません…あの…」

そこにいたのは男の人で、私の声にびくりと震えすくっと立ち上がった。ぐりん、と顔を向けた時私は叫びそうになった。

「っ、あ、えと…」
「…同じクラスの宇佐美ユイコだな」
「あっは、はい!そうです!」
「……邪魔してたな」

そういうなり私の横を通り抜ける京谷君。心臓がバクバク鳴ってて、視界がぐらつきそうだ。な、なんだったんだ…ていうかここで何してたの?非常階段とか野球部が雨の日に階段ダッシュする時ぐらいしか使わないじゃん…。と思いながら鍵を閉める。京谷君がこっちを見ていたことを思い出す。目つき相変わらず悪い…し、背も高いから貫禄ある。やっぱり私の勘は間違ってない。関わらないほうがいい…だけど、何で私の名前知ってたんだ…まだ4月下旬なのに…。
とりあえず帰ろう。窓閉めを終えて外に出る。大きな傘を差して歩き出そうとしたら、隣に誰かいることに気づいた。顔を向けるとうひゃあ!と叫びそうになったがなんとか抑えた。そこにいたのは紛れもなく京谷君だ。傘を忘れたのだろうか、雨を見つめている。私には折り畳み傘があるからそれで帰れるからこの傘を渡すべき…!?ただのビニール傘だから別に文句言わないよね。…待って私何渡そうとしてるの!?あいては京谷君だよ!?無理じゃん!どう考えても無理じゃん!怖いし、怖いし、怖いし…!わ、こっち向いた。

「何だ」
「やっな、なななんでもないですぅ…」
「…?」

ぎゅっと傘を握りしめる。京谷君は不思議そうに私を見ている。ひいい見ないで…怖い…何か言ったら殴られそう…。

「帰らないのか」
「あっはっはいい!?」

京谷君から話しかけてきたあああ!?い、いやあっちからしたら普通なのかもしれない…。おそるべし京谷。私の答えを待っているらしい。

「か、帰るよ、もちろん!あはは、あははは…」

京谷君は帰んないの?って聞けよ私ー!何だこいっって目で見てきてるよー!ひいいい怖いよほんとに…。
ていうか雨止むの待ってるのかな?いやどうしようか考えてるんだ、きっと…。

「…じゃ、じゃあ私は帰りますっ」
「…」

ちょ、こわ!目つき悪い!もうどうにでもなれと私は京谷君に傘を突き出した。

「私!折り畳み傘!だからこれ!」

日本語をちゃんと言えてないのを感じながら無理やり傘を渡し、折り畳み傘もささずに走り出す。しばらくして学校から見えない場所で雨宿りをした。
傘を渡した時の京谷君の反応…眉間にしわ寄せてたからもしかしたら持ってたのかな!?とか思い始めてきた。…もういいや。さっさと帰ろう。

そして次の日、私が教室に入った瞬間京谷君がが席から立ってこちらへと歩いてきた。私はビビって動けないまま京谷君と目を合わせていたら「来い」と言って教室から出て行くのでビクビクしながら後ろをついて行った。



20151018



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