「それで、京谷君とは仲直りしたの?」
「うん、した」
「……嬉しそうな顔してさ〜」
「え?してないよ!普通の顔だから!」
「にやにやしてるよ」
「ひ、ひてない」
「顔引っ張ってもだめ」
に、にやけてるなんて嘘だ…!いや、うん?別ににやけてもよくないか?いやいや。…よくわかんなくなってきた。京谷君と一緒に戻ってきたら、クラスみんなが迎えてくれた。「無事でよかった〜!」と。
…ぶ、無事…?それはもうすごい剣幕で私を追いかけていったらしい。みたかったなあ、その京谷君。…ものすごく恐ろしかったんだろうな、想像したら身震いしてしまった。京谷君は自分の席に戻って寝てしまった。京谷君とは席が遠いんだよね。…それにしても。
「みんな京谷君のこと変な風に思いすぎだよ。京谷君は私に暴力をふるったことなんて、一度もないよ」
「京谷君と関わる前のユイコだったらすぐ暴力ふるいそーとかいいそうなのに」
「(言ってそう…)」
「まあ、それだけ仲良いってことよね」
「うん、私京谷君と仲良いよ」
友達はびっくりしたのか口を開けたまま私を見て固まってる。だめかなあ、私、凄く誇れると思うんだけど。京谷君って怖いけど、すっごい優しい人だと思うんだけどなあ。そ、それに、わたしは認めてしまったわけだ…自分の、この気持ちを。
「…好きなの?」
この前、首絞めて言わせたくせに、そうやって聞くのはずるいと思う。
「好きだよ」
友達は目を見開いた。
「あんた!この前は!好きだけどうんちゃらかんちゃら〜って言い訳がましくいってたのに!」
「う、うん。でもね、なんか、認めてしまったのよね」
「なぜ?どうして?」
「がおがおっ………ってそうじゃなくて。京谷君の優しさを垣間見たんだよ!」
「へー」
「あっあれ、興味なさそう…」
自分で聞いたくせにその態度はひどいよね!友達は頬杖ついて遠くを見る。どこみてんだ?と視線をたどったら、いきついたのは京谷君だった。多分。
「肉食動物と、草食動物、か…」
「あははすごいわかりやすい例え」
「まあいいんじゃない?」
「え、な、なにが」
「お似合いってこと」
「あ。あ、ありがと…」
「照れんなよ」
だってお似合いって言われたら、そりゃあ照れるに決まってますよね。後ろ髪をかくと友達はジト目で「早く告れよ」とドスの効いた声で言ってきた。ひいい。
20151226
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