「一緒に帰ってるのを目撃したんだけど」
「う、うん。帰った」
「やっぱ付き合ってんの?」
「チガウ」

何で!?何で必ず誰かに見られるの!?私にはプライバシーというものはないの!?超怖いんですけど!ていうかあのカチンコチンになってた私を見たというの!?死にたい!

「何よ〜ユイコ。京谷君と仲良くなっちゃってさ〜」
「うん。まさか私もここまで仲良くなれると思わなかったよ…ヘヘヘ」
「何嬉しそうにしてんの!」
「ちょ、痛いですお姉さん背中超イタイ」

バシンと背中を叩かれ擦る私にケラケラ笑う友達。というか、京谷君と仲良くなっただけでこんなに言われるのか。まあそうだよね、一匹狼みたいな感じだもん、京谷君。あんな狼みたいな人とこれだけ話せるようになった自分凄い。超努力した。そして京谷君と一緒に帰ったあの時間は楽しかった。ぽつりぽつりと京谷君のバレー部の話も聞いたし、私のしょうもない話からつまらない話まで全部聞いてくれた京谷君。意外と優しい。途中聞いてなさそうだったけど。…傘の話をしてみたら、話をすりかえられた。触れてほしくないのか、と私は少しだけ残念だったけど、傘は私たちを出会わせたから!ここまでこれたキッカケだから覚えててほしかったなあ、なんて。

「ちょっと聞いてんの?」
「あ、ごめん何だっけ」
「だから、京谷君のこと好きなの?って聞いたんだけど」
「えっ、な、う、ええええ!」

私が考えごとしてる間にどんなこと聞いてんだ。京谷君が好きか?そりゃ嫌いじゃない。寧ろ好きな部類に入る。うん、おかしいことじゃない。おかしいことじゃないぞ、私…。

「す、好きです」
「えっそうなの!」
「えと、付き合いたいとかそういう意味ではなく…」
「うんうん!」
「友達的な…」
「は?」

友達の冷めた表情。怖い。今の言葉に何がいけなかったんだろう。え?友達的ながダメだったのかしら。でもさ、でもさでもさ、私が京谷君のこと、男の子として見てるなんてそんな、そんなことありえない…だろう…し…。好きだってはっきり言えるのに。その好きと認めるまでが長くてたまらないんだ、私は。

「ユイコは絶対好きだと思う」
「…え?」
「京谷君のこと。男の子として」
「…え、や、いやいや」
「好きなんならハッキリしなさいよ!」
「え、えと…」
「男の子として好きですって言うまで首しめるから!」
「えっ?ぎゃあああ好きです男の子として!」

その瞬間。
その瞬間のことだった。
私が「男の子として」と言った瞬間、ぽん、と肩を叩かれた。首をしめられながら振り向いたら、そこには京谷君が。

「きょ、きょきょきょきょ京谷君…」
「…おっす」
「お、おはよう!」

い、今の聞かれてたよね、当たり前だけど。だけど京谷君の様子はおかしいどころか普通だ。あ、そっか、京谷君こういうの興味なさそうだし…。ちょっと残念だけど、これが京谷君だし。京谷君は私に挨拶するとともに席に歩いて行った。…ん?挨拶?京谷君が!?京谷君が私に挨拶!?どうしよう、めちゃくちゃ嬉しい。

「ちょっとニヤけてんじゃないわよ」
「…へっ?」
「焦るのかと思ったらニヤけだすし。ユイコって変よね…」
「いやいや急に首締め出すあなたもどうかと…」

自分のやったこと棚にあげるのよくない。友達ははあとため息をついて私を一瞥した。な、なんだよ。

「ま、あたしは応援してるよ」
「…えっ。えええ!」

チラりと京谷君を見ると、京谷君はこっちを睨んでいた。怖い!

20151203




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