帰り、携帯を見てにやけながら歩いていると、公園のベンチに座ってハミチキを食べてる京谷君を見つけた。あ、あそこの体育館に行く途中なのかな。私はひひ、と笑って走り出した。私に気づいた京谷君は少しびっくりしていたけど、私は気にせず歩み寄る。

「でへ、ロック画面アルビノちゃんにしたんだ〜!見て見て京谷君」
「……」
「可愛いいでしょ?」
「…ああ」
「(よっしゃ!)」

さりげなくベンチに私も座る。もちろん一定以上の距離を開けて。根気強く話しかけたらどんなに興味がない話でも相槌を打ってくれるようになったぞ!凄いぞ私!あしらわれてる感すごいけど!私の顔はきっと緩みまくって、すごいことになってそうだな〜。

「お前は口を開けばアルビノちゃん、アルビノちゃん、だな」
「だってすごい好きなんだもん!」

京谷君は少し睨みつけるように私を見ていたけど、私のその言葉に呆気にとられたのかぽかん、と口を開けて私をみていた。…え、何だ?

「何かおかしいこと言ったかな、私」
「…お前は、どストレートに物を言うな」
「え、よく言われる。なんか気に障ったかな」
「別に」
「え」
「…」

ぷい、とそっぽを向いた京谷君。え、なんで。おかしい?普通はこんなこと言わない?京谷君。いつの間にか手を差し伸べていた私は、京谷君の裾をつかんで引っ張った。

「ご、ごめ、私バカだから、なんで京谷君を不機嫌にさせたのかわかんない。えっと、ごめん…」
「…」

きゅっと目をつむって、ただ京谷君の返事を待つ。こっちを向こうとしたのか裾が動いて、私は離した。上を向けば、京谷君が私を見てる。相変わらず目つきが悪い。

「不機嫌になってない。ただ、お前が羨ましく感じた」
「え…?」
「好きだから、ってどストレートに言えるお前に」

それって、普通のことだと思ってた。でも確かに、京谷君はそういう風に言う人ではなさそう。だから、羨ましく感じたってこと?京谷君てわかんない。もっと分かりやすく行動してほしいよ、全く。

「吃驚した」
「…」
「京谷君に嫌われたかと思った」

嫌われるのがこんなに怖いなんて思わなかった。今まで京谷君が怖くて仕方なかった私が、京谷君に嫌われるのが怖い、なんて。

「別に俺に嫌われてもなんも思んねーだろ」
「お、思うよ!だ、だってさあ、京谷君はさあ、友達じゃん…」
「…」

あれ、返事がないや。京谷君を見上げると、京谷君は口を尖らせていた。あれ、友達と思われてなかったんだ、私。それに心にすきま風が吹いた。今日は帰って静かに泣いてるんだろうな、私。そう思っていたのもつかの間、京谷君は立ち上がった。

「なりたくねえんじゃなかったのかよ」
「え?」
「友達になりてーの?って聞いた時、お前無言だったべや」
「あ…」

その時はまだ怖い意識すごかったし別になりたいわけでもなかった。でも友達ってなろうって言われてはいなろうって言うもん!?違うじゃん!とっくに友達だと思ってたし!

「あ、あのときはあの時!今は友達…都合よすぎかな」
「…俺はお前のこと友達だと思ってねえ」
「…」
「だけど、まあ、話せるやつだとは思ってる」
「…!」

京谷君が、京谷君がデレた…!ゴミ箱の中にハミチキの袋を捨てて、荷物を持つ。あ、そろそろ行くんだ。じゃあ私も帰らなきゃ、と立ち上がった。

「送る」
「で!?」
「ここらへん不審者出るって今さっきガキが話してた」
「えっ、で、でも練習…」
「まだ時間ある」
「そそそそそっか、あはははは!」
「…お前頭狂ったのかよ」
「なななわけ!」

だって、送るなんて言われたら急に緊張してきた。京谷君が!私に!送るって!不審者が出るからって!私のために!送るって言ってくれた…!どうしよう、すごくドキドキしてきた。

20151126



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