京谷君のご指導のもと、私は大分バレーが上手くなった。(と思う)
京谷君は私の指導もして、自分の練習もして、ソフトの練習もして。凄すぎないかな。そして今日、球技大会。私は自分のもてる全ての力を使ってバレーに臨みます…!
結果。


……惨敗。

「惜しかったね〜」
「あそこでとれてたらね〜」
「そうだね」

…こんな話がしたくて私は練習したんじゃない!なぜなんだ、なぜ私は自分の持っている力を存分に発揮しなかったんだ…。くそう、くそう!地団駄を踏みながら歩いていくと、いつの間にか外に出ていたらしく(怖い)、男子のソフトをチラりと見たら。うちのクラスはなんと決勝までいっていたらしく、3年のチームと戦っていた。…3年5組か。私知り合いいないや。まあいいや、とそこに座り込んで試合を見続ける。試合は佳境で、今一番盛り上がっているところだった。あ、京谷君が投げるっぽい…!一球目、おいおい剛速球じゃないか。バッターも吃驚してるだろうね。…ん?何か凄い目つき悪いなあの人…。京谷君ほどじゃないけど、すげえ眉間にしわ寄せてる。続いて二級目。うお、はええ!と思ったのも束の間、「甘ェー!!!」と叫んでホームランを打ちました、3年生。みんながおおおと叫びながら「回れ岩泉ー!」と男子が叫んでいて、なんか岩泉って聞いたことあんなあと考えながら少し移動した。なんとなく今どんな表情をしているのか、京谷君が見たくて。

「あっ京谷君見えた…」

凄い、すごい残念そうな顔。駄目だ、見るんじゃなかった。ごめんね京谷君。私は君を慰めることもできない。だって、こんなとき何言われてもムカつくのを私は知っているから。だから、なんとかして立ち直るんだ京谷君…!とエールを送っていたら、京谷君と目が合った。咄嗟のことで、手を振ってしまったけど、無視されてしまった。そりゃそうだ、今そんな気分じゃないこと、私は充分知っているから。


「お疲れ様」
「そっちもお疲れ様〜」

球技大会の片付けのあと、普通に部活があった生物部。別に何もかわらない風景の中、同じ部員である眼鏡野郎が私を見てニヤニヤしてきた。

「京谷、打たれてたなあ〜」
「あ、見た?凄いね、あの先輩」
「あの先輩バレー部だぞ。知ってたか?」
「うっそまじ!?すんごいギンギンって感じだよね!」
「…まあ言っていることはなんとなく分かる」

ギンッてさ、ギンッてさ!というともうギンは分かった、とため息をつかれた。京谷君とあの人だったら圧倒的に京谷君のが目つき悪いけど、バレー部ってそういう人多いのかな。ちょっと興味がわいてきた。…あ、それよりも!

「私の大好きなアルビノちゃ〜ん。元気ぃ〜?」
「おいキモいぞ」
「黙れ眼鏡かち割るぞ」

今日も日記をつけなきゃ。日付を書いて、晴れマークを書いて。ツラツラと書いていたらあっというまに行間全て使ってしまった。ああ、もっとアルビノの良さを書けたらなあ、と思いながらため息をつく。とりあえず今日の部活は私は終わったんだけども。このまま帰っても暇なので眼鏡ともうちょっと話すことにする。

「ていうかあんた結構先輩とか色々知ってんのね」
「あのなあ…有名だぞ、バレー部とか特に」
「そうなの?私全くわかんないからさ」
「まあ、今は京谷がいるからな」
「あのさ、へんな言い方やめてくれるかな?」

京谷君とセットだと思ってるな、こいつ。だけどまあ、実際そうだ。京谷君はなぜか私とは離してくれるし、私にバレーを教えてくれたし…。うう、私、京谷君と仲良くなっていってる…!まだ睨まれるけど!怖いけど!

「もう少ししたら親友になれるかも…!」
「はあ?お前男女の友情が存在すると思ってんのか」
「え?うん」
「…バカだなー」

これだからネズミバカは、とため息をつかれたのでイラッときて肩パンしてやった。ショルダーバックを肩にかけて、「失礼しました!」と丁寧にドアを閉めてドシドシとわざと大きい音を立てて帰っていく。何、あの言い方。全部知った風に言ってさ。京谷君と私が付き合うとでも思ってんの?ありえない、ありえない。だって私京谷君のこと、そんな風に見てないし、京谷君なんか私のことなんとも思ってなさそうだもん。
なのに、なのにさ。

「…変なこといってんなよ、ばかやろー…」

京谷君のことで頭がいっぱいになってる自分が、よく分かんなくなった。

20151118



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