10,000hit企画book | ナノ


「は?…嘘」

私は聞いてしまったのだ。リエーフが宮崎にある高校のバレー部のマネージャーと一緒に、何かを宣伝したということを。しかもそのときのリエーフは凄くそのマネージャーに絡んでいたらしい。…マネージャーはすっっごく、美人らしいのだ。

「…やっぱり、やっぱり男って顔なんだ…」
「落ち着いて苗字さん!誰しもがそうだとは限らないから!」
「だって、だってリエーフそのマネージャーにデレデレだったんでしょ!?鼻の下伸ばしてたんでしょ!?」
「いや、それは…」

つまりそういうことなんじゃない!と犬岡に泣き付いた。もう、もうやだ!リエーフはそんな人じゃないと思ってたけど!(実はちょっと思ってた)美人にデレデレして一緒に宣伝?したとか…。私は悔しいのと悲しさが混ざってへたりと机に顔を伏せた。駄目だ、私嫉妬してる。彼女でもないのに…。…もう諦めようかな。私は特別可愛いわけでもないし。密かに抱いていた恋心を、今散らす時なんだろうか。どうせかなわないと思っていた恋だ。それならこれを機に、終わらせよう。

「私の恋もここで終わりか〜」
「……」



それから私はリエーフを避け始めた。前までは廊下で会ってたら絶対に話しかけたりしていたのに、会っても気づかないフリ、そこにいてもなるべく視線が入らないように遠ざけた。こうでもしないと諦めきれなかったから。友達に「何で諦めるの?」と聞かれたけど、ハッキリいってこのままいっても告白まで行けるとは全く思ってなかった。このままずるずる行くなら告白しようと思っていたところだが、その話を聞いてまあショックで。何より美人にデレデレということに私は酷くショックだった。もう無理だ、なんて勝手に思ってしまったわけだ。そして今、現在進行形で避けている。

「名前〜生物の〜名前なんだっけ忘れたけどその先生が職員室来いって行ってたよ〜」

あ、やばい。私だけノート提出してなかった。「ありがとう!」と言って急いでノートを持って提出しに行く。職員室遠いから嫌なんだよな〜…あ、曲がり角のほう行ったほうが早いや。よしっ…。

「いたっ」
「おっ」

ドン、と勢いよくぶつかったのは確かに聞いたことのある声で。痛いのも我慢して顔をあげたら、リエーフが立っていた。ジンジンとする鼻を押さえながら「ごめんっ」とだけ言って横を通り過ぎようとしたら、ガシッとあたしの肩を掴まれ、ドンッと壁のほうに追いやられた。突然のことで放心する私の顔の真横に手をつくリエーフ。…もしやこれは壁ドンというやつ?

「お前さ、何で最近避けてんの」
「…はぁ?別に避けてないし」
「嘘つけ」

顔が、いつもより近い。いやいやまって、壁ドンとか何気初なんですけど。最近ブーム去ったからすっかり消えたな〜とか思ってた矢先なんですけど、待ってこんなにドキドキするもんなの!?顔が見れない…と顔をそらしたら、「こっち向けよ」と顎をくいっともたれた。ひいいい〜…。

「リエーフ、な、んか変!」
「はあ?」

だってリエーフはいつも…なんかぴょんぴょん飛び跳ねてる感じなんだよ!いつも元気で、今日も部活がんばるぞっていつも私に言ってきて、とにかく元気がとりえな男だったのに…こ、こんなことする男じゃなかった!キャラ崩壊してるわ!

「…お前のほうが変だろ。あからさまに避けてよー…もう意味わかんねえ」
「……り、リエーフが悪い…。美人なマネージャーの人にデレデレしちゃって…」
「は?マネージャー?何のことだよ」
「とっとぼけないで…マネージャーと宣伝?か何かしたんでしょ…?」
「…あ、ああ!」

あれな!と思い出すリエーフ。その隙に少しだけ距離をとった。漸く壁ドンから離れれた…。恥ずかしかったな、あれ。

「別にデレデレしたつもりなかったけどな〜」
「……」
「あ、もしかしてお前それで嫉妬?したわけ?可愛いな〜」

ぽんぽんと私の頭を撫でるリエーフ。今さっきとは雰囲気がガラりと変わって、いつもどおりに戻ったみたいだ。…というより、いつもよりなんか、なんていうか嬉しそう…?

「ま、そんなこと思わなくても、俺はずーっと前からお前が好きなんだからな!」

だからそんな心配しなくてもいーから!なんて笑ってバンバンと私の背中を叩くが、はっきり言って私はそれどころじゃない。
ぎゅっとノートを握り締め、今リエーフが言ったことを思い出す。や、待って、突然のことすぎて…。

「犬岡がさ、早く気持ち伝えろ!って言ってきてさ、まあ丁度いいし?みたいな〜」

犬岡、グッジョブ…!いい仕事したよアンタ…なんて思ってる場合じゃなくて。何だか恥ずかしくなってこの場を離れたくなって。「あ、あたし先生に呼ばれてるから…」と言ってこの場から離れようとしたら、「おい!」と腕を掴まれて。

「お前はどーなんだよ」
「どうって…まあ…」
「まあ?」
「……好きです」

…いつになったらノートを出しにいけるんだ、と心の中でぽつりと呟いた。だけど目の前で嬉しそうに笑うリエーフを見て、まあいいか、なんてほくそ笑んだ。


20151008

ゆき様、この度は10,000hit企画に参加してくださり、本当にありがとうございました!何だかユニークなフリーリクエスト、これは頑張らねば…!と思い気合を入れて書きました。(笑)最初どういうことなんだろう…宣伝…?と私は思い検索してみたらああこういうことか!と画像をとりあえず漁りました。ご期待に添えていればいいのですが…!
それでは、これからもANKをよろしくお願いします。


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