10,000hit企画book | ナノ


「はじめ、はじめはどこ」
「ここにいんだろが」

ボゲ、とあたしの頭を軽く叩いたはじめ。だってはじめ、でかすぎて顔が見えないんだもの。仕方がないじゃない。

「はじめをおんぶしてみたい」
「間違いなくつぶれるな」
「じゃあだっこ…!」
「お前にできるわけねーだろ」

チビなくせに、とあたしの髪の毛をわしゃわしゃと撫でて。でももしできたら超かっこいい。もしはじめが怪我して動けなかったらあたしがおぶされるじゃない。

「ねえ、一回やってみよ」
「お前は現実見た方がいいぞ」
「やだあ見てるよぉ」
「腕引っ張んなやんねえから」

もう。あたしにひょっとしたらすごい筋肉があって持ち上げることができるかもしれないのに。はじめははあとため息をついてもう諦めろって言ってくるし。

「じゃあはじめがあたしをおんぶ」
「まあ普通に考えてそっちだよな」
「やっぱお姫様抱っこされたい…!」
「急にどうした」

男のロマンとかあるけど、それならお姫様抱っこは女のロマンだよ。お姫様抱っことか超憧れる。されたい。すごいされたい…!キラキラとした瞳ではじめをみたらはー、とため息をつかれ背中に腕を回された。も、もしかして!

「いっかいだけな」
「きゃ!はじめかっこいい!さすがあたしの王子様!」

きゃあきゃあ騒いでる間にふわりと浮遊感。はじめは簡単にあたしを持ち上げた。はじめの筋肉質な腕大好きだよ。

「わああ!わあ!きゃー!」
「うるせぇな」
「はじめが近い!きゃー!」
「分かったから抱きつくな」

何だかはじめと同じ目線になれた気がして。きゅっとはじめを抱きしめた。はじめは嫌そうにしてたけど、ほんとは嬉しいってことあたしは知ってるんだからね。それからすぐ下ろされて、「充分か?」と聞かれたので「うん!」と言った。

「えへへ」
「んだよ、気持ち悪ぃな」
「はじめが好きなんだよー」
「はぁ、そんなん知ってるっつの」
「そうだよねー、毎日好きだって言ってるからねー」

きゃー、とはじめの腕に抱きつけば、「暑苦しい」と嫌そうに言われた。うふふ、照れてるんだ、分かってるからね、あたしは。はじめー、はじめと呼べば「何だよ」って呆れたようにあたしを見て、そのまま頭を撫でてくるから気持ちよくてそのまま目を瞑る。「猫みたいだな」って上から言葉が降ってきて、確かにあたしははじめにとっては猫のようなのかもしれない。

「彼女ですー。にゃんにゃん」
「お前今の結構キモかったからやめといたほうがいいぞ」
「んだと!猫パンチ!」
「あー、もう、うざってぇな!」

きゅっとあたしの腕を掴んで、そのまま手を絡めてきた。全く、素直じゃないんだから。ニヤニヤとはじめを見ると「何だよ」って少しだけ頬を赤らめていた。可愛いなー、はじめは。大好きだ。

「ねー、もっかいだっこされたい」
「駄目だ。そろそろ帰るぞ」

はじめはそう言って自分の席に荷物をとりにいった。

「えー。もう帰るのー?」

折角の二人きりの教室だよ?放課後だよ?と叫んでも「俺は疲れた」とだけ言って聞いてくれない。あたしは諦めて鞄を取りに行った。


20151012

陽花様、この度は10,000hit企画に参加してくださり、本当にありがとうございました!
同い年の恋人でイチャイチャ、ということで…!もう何も考えずに始めたらまあバカなヒロインができました。(笑)まあ男前な岩泉なら何でも許される…!ということでひたすらベタベタさせました。いかがでしたでしょうか。笑 これ書くの楽しかったです…!こんなお話でよければもらってくださいませ。
それでは、これからもANKをよろしくお願いします。



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