10,000hit企画book | ナノ


「イタッ」
「お前がチンタラしてっからだろ」

ぽこっと教科書で頭を叩かれ、頭を抑えながら岩泉君を涙目で見た。なんだよう、ちょっとぼーっと歩いてただけじゃない。

「岩泉君は私の保護者だね」
「…んなわけねーだろ」
「えー?そうかな」

クスクスと笑いながらそう伝えると、岩泉君は少し不貞腐れたような感じで「ちげぇよ」とだけ呟いた。
友達に岩泉君のことが好きだと気づかせてくれたその日から、岩泉君とはさらによく喋るようになった。あっちも話しかけてくるし、私もなんだかもっと話したくなって、つい話しかけてしまう。
でも岩泉君は笑顔で私に話したりしてくれるけど、時々冷たくしてくる。私は岩泉君のことが好きだけど、岩泉君は私の事好きじゃないんだろうなって少し胸が痛んだ。

「おい、危ねーぞ」

ぐいっと肩を岩泉君のほうに寄せられた。慌てて前をみると壁にぶつかりそうになっていた。ふー、危ない危ない。

「ありがとう岩泉君」
「おう」

そう言って今起こったことを思い出した。岩泉君が私の肩を寄せて…あれ、そのとき凄く距離が近かったんじゃないのかな。改めて考えてみると凄くドキドキしてきた。だって今でも距離が近いのに。

「お前は本当危なっかしいな」
「そうかな?」
「そうだ。俺いなかったらぶつかってたかもしんねーだろ」

確かに、それもそうだ。岩泉君が助けてくれたおかげで私はおでこにたんこぶができずに済んだんだ。…岩泉君。岩泉君って…。

「岩泉君って私の保護者というより、ヒーローみたいだね」
「…はぁ?」
「何時も私を助けてくれる、私だけのヒーロー」

なんてね、と私は笑って見せた。私だけのヒーローなんておこがましかったかな。いろんな人を助けたりしてるのかな。でもきっとそう、岩泉君はなんだかんだで優しいんだから。私だけのなんてダメだよね。

「やっぱ私だけってのは、な…し…」

岩泉君のほうを見ると、岩泉君はこっちをすでに見ていて、なんだか恥ずかしくなって顔をそらした。

「…お前がそういうなら、そーでもいいけど」
「え?何が?」
「私だけのヒーロー、ってやつ」
「え…」

それってどういうことなのかな。
私だけのヒーローになってくれるってことなのかな。
ねえ、岩泉君。
何で顔が赤いのかな。
その顔が赤いのに意味はある?だとしたら、だとしたら私は期待をしてもいいのかな。

「…岩泉君」

今から私が言うこと、ちゃんと聞いてね。


20151008

つばき様、この度は10,000hit企画に参加してくださり、本当にありがとうございました!
いつもニヤニヤして読んでいる、なんて嬉しすぎます…!ありがとうございます!もっと小説書くの上手くなりたいな〜と思っているところなので、もっとニヤニヤさせれるような小説を書いていきたいです。そしてそして、岩泉が好き、とのことで短編の『好きが始まる』をリクエストしてくださりありがとうございました。岩泉の男前な部分を出したくて必死に考えました(笑)満足していただければ幸いです。
それでは、これからもANKをよろしくおねがいします。






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