10,000hit企画book | ナノ


「あ、二人揃って戻ってきた」
「えっ」

ドアを開けると友達がニヤニヤとしながらあたし達を見てきた。一気に熱くなる顔を手で抑えながらそそくさと岩泉から離れた。もう、さっきのことを思い出してしまう。
さっきのことといえば、あたしは岩泉に告白されたんだ。それで、付き合うことに…キャー!!今でも信じられない!岩泉があたしに告白…!岩泉とあたしが付き合うって…!カップルだよ!?あたしと岩泉がカップル…。どうしようニヤけが止まんない!岩泉が他の男子のところに言ったのを見て友達に勢いよく抱きしめた。「どうしたどうした?」って楽しそうに聞いてくるからあたしは一層ニヤニヤが止まらない。

「いっ岩泉と…岩泉と付き合うことになりましたっ…」

えへへ、と頭を掻きながらいうと友達は吃驚した顔を見せながらあたしの肩を掴んだ。

「ちょっ…展開早すぎない!?」
「えへへ…色々ありまして…」
「色々が聞きたいわよ!」

ちょっと、何があったの?って興奮しながら聞いてくるからあたしも嬉しくなる。チラりと岩泉を見たらこっちを見ていなくて、楽しそうに話していた。ふふ、岩泉…岩泉好きだなあ…。

「あんたが泣いてたの見たとき一人でキョドってたわよあたし」
「ちょっと見たかった」
「ばーか」

にしてもいろんな人が見てたんだなあ…ちょっと恥ずかしいかも。でも、でも終わり良ければ全てよし…!うふふ、今日は眠れないだろうな…どうしようもう興奮しちゃう!

「今日電話かけるねっ…」
「はいはい惚気でも聞かせてもらうわ」
「うん…うふふ…」
「きも」

だってさあだってさあ!岩泉がかっこよすぎるのが悪いんじゃん!岩泉の隠し撮りがこれからたくさんできるって考えたらどうしよう毎日楽しくなる!もっと好きになっちゃう…。でもこんなこと考えてるって知られたらきっと、幻滅するんだろうな。だとしたら今のうちに可愛いって思えるような感じの子になったほうがいいんじゃないのか…!?

「岩泉の可愛いの基準が分からない…」
「どうしたの急に」
「とりあえずこの微妙な長さの髪を切ったほうがいい!?」
「やめときなさい」

バレー部の子みたいに髪短い子が好きかな?ていうかあたしみたいなチビよりもっとでっかい人のが良いのかな…。で、でもハグするのに丁度いい身長差は15センチって聞くし……。岩泉180ないって言ってたけど明らかに高いから178か179ぐらいとして…あ!15センチあるじゃん!よっしゃ!

「でもハグ以前に抱きしめれない…」
「話ぽんぽん変えすぎよ」
「やっぱり身長はあったほうが…」
「あたしの声届いてないわね」

岩泉君のことになると周りが見えないんだから、とぽんと頭を叩かれた。
確かにちょっと見えてないかも…。これを機に冷静になるべき!?いやいやそんなの…。

「お前苗字のこと好きだったのかよ!」

シン、となってまたザワつく教室。え、とその男子を見たら岩泉が怒った口調で「声でけぇんだよ」と睨んでいた。男子は慌ててごめんごめん、と。

「ねぇその話まじー?」

クラスでまだあたしが岩泉とあんまり話してなかった頃、岩泉によく話しかけてる女子がいた。声が大きくて笑い声がうるさい子。バカにした言い方で岩泉に詰め寄って行く。

「岩泉が名前ちゃんのこと好きとか根拠ないこと言ってさー、面白すぎんでしょ」

ずきり、と胸が痛む。確かにあたしと岩泉が席が前後でよく話すだけで、あたしだってまだ信じられないんだもん。…やっぱりあれは違ったの、かな…。

「なにが面白いんだよ」

岩泉の声が、教室全体に響く。あたしは涙が出そうになった。女子がぎり、と歯ぎしりをして岩泉を睨むように見つめる。

「だって…好きだなんて一言も私に言わなかったし」
「何でお前に言わなきゃなんねーんだよ」
「っ、まじで好きなの!?」

手が震える。あ、やばいもうこの教室にいられそうにない。みんなにバレないように席を外そうとしたら友達があたしの手を握って強引に座らせた。ねえ、あたし結構泣きそうなんだけど。岩泉ははぁ、とため息をついてその女子を見る。怖くて、心臓がバクバクいったその瞬間、岩泉が口を開いた。

「好きだ」

いつの間にかみんなその話を聞いていて、岩泉がそれを言った瞬間誰もが口を閉じた。そしてすぐにぎゃあぎゃあ騒ぎ出した。あたしはというと涙が止まって逆に嬉しくて口元が緩んで仕方なかった。告白してこいよ!とあたしを指差す男子にやめろと岩泉はいつまでも冷めた対応。岩泉の近くにいた女子は泣きそうになりながらあたしを睨んだ。怖いけど、あたしだって怯んだりしないんだから。

「ほら岩泉、告白だ告白」
「ったく、うっぜぇな…俺らもう付き合ってっから」

えええ、とびっくりする男子やその周りの女子達。今まであたしをいないとして見ていたのにその子達はあたしのほうを向いて「本当なの!?」って聞いてきた。

「……本当、です」

きゃあああ、って女子が叫ぶ。楽しいんだろうな。こういう話好きだし。色々きかれて大変…ていうか顔が熱くてたまんない、もう今だけ穴があったら入りたい…!「顔真っ赤だよー!」ってニヤニヤしながら言われるからはずかしくてたまらない。

「お前らそろそろうぜえ。授業始まっからこの話は終わりだ」

えー、まじかよー、ってみんな残念そう。でもその言葉のおかげで助かった。みんななんで?好きだったんだ?とか、馴れ初めを聞いてきたりして困ってたから。友達が小声で「良かったね」と言ってきたのでうん、と頷いた。
席について、まだ顔が熱いのを気にしながら教科書やらを出していると、岩泉が席に戻ってきた。

「ごめんな、大事にしちまって」
「…全然大丈夫」

途中ヒヤヒヤしちゃったけど、好きって言われたし、何か色々嬉しかったから…いいや。ていうか岩泉、あたしの話してたんだよね。…なんか、嬉しいかも。

「男子からなんか言われても無視したらいいからな」
「岩泉こそ…」

今さっきの子とか、と呟くと頭をわしゃわしゃ撫でてきて、「わかってるっつの!」と笑った。あの子はあたし達のほうを見て、ぷいとそっぽを向いた。おそらくだけど、岩泉のことが好きだったんだろうなあ。謝るとかはしないけど、好きな気持ちはきっと誰にも負けない自信があるから、譲ったりは絶対しない。

「何眉間にしわ寄せてんだよ」
「いつもこんなのよ」
「何拗ねてんだ?いつもはもっと可愛いだろ」
「へっ…」

岩泉が、岩泉がデレた!!あたしのこと可愛いって、可愛いって…!口をぱくぱくとすると、「そういうとことかな」と言って前を向いた。
ちょっと待って、ちょっと待って。あたしもう重症で死にそうだよ。岩泉、大好き…!

20151025

もいもい様、この度は10,000hit企画に参加してくださり、本当にありがとうございました
重症につき。番外編三つ目…!書くの楽しいです(笑)その後がみたいということで、本当にその後を書きました(笑)岩泉のかっこよさをもっと出したかったのですがこれ以上は出せず…。満足していただけたらな、と考えております!
それでは、これからもANKをよろしくお願いします。




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