10,000hit企画book | ナノ


「苗字さんの彼氏って3年生なの?」
「うん!そうだよ!」
「へえ〜!かっこいい〜!」
「いやいやそんな…」

へへへ、と頭を掻く。彼氏が3年生ってだけでキャアキャア騒がれるのはなんというか、鼻が高い。それにてっちゃんと私が付き合ってるって考えたら…嬉しすぎて軽く校庭3周はできる!3周以上は疲れるから無理!

「よかったね名前ちゃん。片思い長かったんでしょ?」
「う〜ん、そうだね〜」

思えば中学は最初の頃以外ずっとてっちゃんてっちゃん言ってたなあ…。いっつも後ろ追っかけて、お前は自分のクラス帰れってよく言われてて、バレー部は人数少なかったからコート半面で練習してて、休憩中一緒に話してたなあ…。何か今は、遠い。私が何も部活入ってないからだけど…。

「ああああてっちゃんに会いたいなあ〜」
「昼休みに会いに行ったら?」
「そうしよっかな」

携帯を出しててっちゃんに昼休みに会いに行きますみたいなことを送ったら、数分後に既読がついて(それまで出したまま友達と話していた)「分かった」とだけ来ていた。それにキャアキャア騒ぎながら友達に見せたら「大げさ」ってつっこまれた。幸せ。幸せすぎてどうにかなっちゃそう…!

昼休み、お弁当を食べた私は颯爽とてっちゃんのクラスへと走って行った。ユカちゃんとかアヤちゃんがついていこうか?って聞いてくれたけど大丈夫!と断ってしまった。好意を無駄にしてしまったなあと思いながらクラスへ。覗き込もうとしたらそのクラスの人が出てきて、「あれ、1年生?」と。

「こんにちは!てっちゃ…黒尾先輩いますか!」
「黒尾?…あ、君もしかして…!おーい黒尾!彼女が来たぞー!」

その言葉とともに教室にいた男子は口笛を吹いたり冷やかしたりと騒ぎ始めた。あー、こういうの中学の時も変わらなかったな。てっちゃんにお弁当届けてあげたらこんな風に茶かしたりして…。懐かしいなあとか思ってたら「お前らうるせー」とか言いながらてっちゃんがやってきた。

「とりあえずここ離れるか」
「うん!」

てっちゃんの後ろをちょこちょこと歩いていたらいつの間にか中庭に出ていた。てっちゃんはそこで立ち止まる。

「何かごめんな。俺が迎えに行けばよかったな」
「ううん、私が会いに行くって言ったんだから!」

こういう優しいところは変わらない。そうか、って頭をぐしゃぐしゃなでるところも、昔からずっと一緒で。

「てか、どうしたんだ?急に」
「友達にてっちゃんの話してたら会いたくなったの〜えへへ〜」

そのままガバりとてっちゃんに抱きつく。人はいないからいいや、という軽い気持ちで。てっちゃんは「お前なあ…」とため息をつきながら私の頭を撫でる。離れろとは言われなくなったからすごく嬉しい。幸せ、てっちゃんの温もりをこんな近くで感じれるから凄く、幸せ。

「てっちゃんのクラス騒がしいね」
「お調子者多いからな」
「てっちゃんもでしょ?」
「うるせぇ」
「キャー!」

頬をぶにぶにと掴んでくるから笑いながら私も手を伸ばした。てっちゃんのほっぺを触りたいけどのけぞられて手が届かない!さすが高身長!首いたい!そのまま首元に抱きついたら頬を離してくれた。ニヤニヤしながら顔をてっちゃんの胸にうずめるとてっちゃんも私を抱きしめた。

「お前は昔っから可愛いよなあ」
「うふふ〜どうしたの?急に」
「俺はいつも名前のこと可愛いと思っています」
「そうなんだ!私もいつもてっちゃんのことかっこいいって思ってるよ!」

てっちゃん私のこと可愛いって思ってくれてるんだ…嬉しい、嬉しい。もっと可愛いって思われたいな。パックとかリンパマッサージとか、色々頑張らないと…!とりあえず身長を170まで伸ばしたい…!そしたら高身長カップルとか言われてお似合いとか言われて…!そしたらやっぱり運動…早く寝る…ことかな…。

「私またバスケ部入ろうかな」
「いやどうした名前チャン」
「身長伸ばしたくて!」
「充分だろ」
「今のままだったらてっちゃんに追いつけないの…!」
「お前俺の身長抜かすつもりなの」

困ったナーって全然困ってないでしょ!手を離すとてっちゃんも私から離れて、そのまま手を繋いだ。とりあえず中庭を歩き始める私たち。試合近くなったら昼練もするらしいから今の時間が凄く大切だなあ。こんなとき学年の差が凄く憎い。同い年だったらもっと近くにいれるのに…。

「どうした?名前」
「ううん…」

でも、あれこれ考える前に、今を楽しまなきゃ損だよね。折角、てっちゃんと一緒にいるのに。私はきゅっと手を握りなおした。

「てっちゃん好きだよ!」

何回も、何回も言っている言葉。これからもっと言うんだろうなあ。てっちゃんはニコりと笑って「俺も」と私に言った。


20151026

椿様、この度は10,000hit企画に参加してくださり、本当にありがとうございました!
まさか椿様にリクエストしていただけるとは…本当に号泣ものです。本当に尊敬しているサイトの管理人様で、リンクも勝手に貼っちゃってます…!そして椿様の黒尾のお話が本当に大好きです!そんな椿様からのリクエストに答えなくてはと頑張りました。(笑)どうだったでしょうか?満足していただければ嬉しいです。
あと、どのような時にお話を考えてどのくらいの時間でお話を書き上げられるか知りたいです。という質問ですが、私は基本、チャリ漕いでる時とかお風呂入ってる時とか色々作業してる時ですかね…。集中しろって話ですよね(笑)思いついてネタもあったらすぐ書き上げます!あんまり思いつかなかったら一話書くのに20分ぐらいかかります(笑

こんな感じでよろしかったでしょうか?それではこれからもANKをよろしくお願いします。

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