「赤葦君って怖いよね…」
「何考えてるんだろう…」
「(ぼーっとしてるだけじゃん)」

ヂューと紙パックのオレンジジュースを飲むあたし。見つめる先は赤葦京治。同じ1年のバレー部で、私はマネージャー、彼は部員だ。
何だ、よく見れば笑ったりもしてんじゃん。ちゃんとみなよ。

…なんて、隣の席の子の話を盗み聞きして心の中で悪態つくなんて、私性格悪いかな。

「はい、じゃあ佐倉、次読んで」
「はい」

読みながらも隣の席の子たちの話が聞こえる。まだ言ってんの…なんなの、赤葦のこと気になるの?この子たち?

「はい。じゃあ次の問2をやってみてください」
「ねえ…話しかけてみたら?赤葦君話してくれるかも」
「えーっこわいよう」

イライライライラする。ボキッとシャー芯が折れて消しゴムでそこを消す。
ちらりと赤葦をみたら、黙々と問題を解いていた。真面目だな。

…まったく。



「赤葦、お疲れ。はいどーぞ」
「どーも」
「……」
「何」
「…うーんとね…」
「何、早く」
「赤葦っ笑って!ニィーッて」

両方の人差し指で頬を指しながら笑うように言ったら、ビクッとして固まってしまった。
え、何。変な顔だったかな。

「……」
「え、あ、あの…」
「うん、今度ね」
「えっ、今度って、いつー!?」

赤葦君はぷいっとそっぽを向いてスポドリを飲み始めた。私はボードを置いて赤葦の方へ走る。

「ねえねえ赤葦笑ってよっ」
「なんでそんな急に…」
「笑った顔が見たいのっ」
「…」

じーっと見ていると、ニヤリと赤葦は笑った。違う、違うんだって!

「違うよう〜それは笑ったじゃなくてニヤッとしたんだよ〜」
「いきなり笑うなんて難しい」
「じゃあ笑わせよっか?」
「脇触るなよ」

手をワキワキと動かすとちょっと引かれた。それもそうか。
でも、赤葦が笑ったとこ、あの子らに見せたいんだよね。
赤葦は無口とゆーか、無駄な話をしないって感じでちゃんと喋るし、怖くなんてない。

ああいうこと言われてると、自分のことじゃないのにモヤモヤするなあ。


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